【ワシントン=赤木俊介】米公共宗教研究所(PRRI)が米ブルッキングス研究所などと実施した世論調査によると、米共和党員の19%がトランプ前大統領が11月の大統領選で敗北した場合、「結果を拒否し(大統領に)就任すべきだ」と答えたことが分かった。選挙結果を巡って混乱が広がる恐れがある。
全米50州の18歳以上の米成人5000人以上を対象に、2024年8月16日〜9月4日に調査した。
共和党員の19%がトランプ氏敗北時に選挙結果を認めないと答えた。民主党員の12%もハリス副大統領が敗北すれば結果を拒否するという。
共和党員の79%、民主党の87%は選挙結果を認めるべきだとした。大多数は結果を受け入れるとみられるが、共和党員の62%が依然として「20年の大統領選がトランプ氏から『盗まれた』」と回答するなど、選挙そのものへの不信を抱える層は多い。
選挙結果を覆そうとする政治的暴力への懸念も強まっている。共和党員の29%は「真の愛国者は国家を救うため政治的暴力に訴えることもある」と答えた。民主党員は8%にとどまった。
ロイター通信の調査によると、米国では21年1月の米連邦議会議事堂の襲撃事件以降、政治的な暴力行為が増加している。2件のトランプ氏暗殺未遂事件を含め、24年1月〜10月で50件ほどの暴力事件が発生した。同期間として1970年代以来の多さという。
PRRIは米成人が最も関心を持つ政策課題も調査した。最重要課題は住居費や日常的な出費の高騰(62%)だった。次点で民主主義の状態(53%)、移民(44%)だった。移民問題は共和党員の71%が重要と回答したのに対し、民主党員は24%にとどまった。
「不法移民が米国の血を汚している」というトランプ氏の発言に賛同した米成人は34%で、共和党員は61%に上った。民主党員(13%)を大きく上回った。
PRRIのロバート・ジョーンズ会長は16日、声明で「民主主義の規範を攻撃するトランプ氏の発言が共和党員に明確な影響を与えている」と分析した。
20年の選挙ではトランプ氏が「選挙不正」を訴えたことにより、21年1月の議事堂襲撃事件につながったほか、投票日前に西部アリゾナ州などで武装した市民が投票所で有権者に圧力をかける事態も発生した。
米ブレンナン司法センターによると、24年5月時点で選挙当局者の38%が脅迫や嫌がらせを受けたと報告している。
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