接戦となっている11月5日投開票のアメリカ大統領選は、候補者のランニングメート(伴走者)と呼ばれる副大統領候補者の活動も、最終盤に向けて力が入る。巧みな弁舌で聴衆を引きつけたり、大統領経験者の力を借りて有権者に語りかけたりと、1人でも多くの支持者獲得へ激戦州を奔走している。(ウィリアムズポートで、浅井俊典)

16日、米ペンシルベニア州ウィリアムズポートでの集会で支持者の歓迎を受けるバンス氏=浅井俊典撮影

◆未出産女性への中傷で落とした評判、巧みな弁舌で回復

 共和党のバンス上院議員(40)と民主党のウォルズ・ミネソタ州知事(60)の両副大統領候補は、ともに労働者が多い中西部出身。連日、ラストベルト(さびた工業地帯)の一角を占める激戦の東部ペンシルベニア、中西部ウィスコンシン、ミシガンの3州を中心に回り、中間層の支持獲得を狙う。  「カマラ・ハリスは口先だけで行動が伴っていない。トランプ氏こそが米国に再び繁栄をもたらしてくれる」  かつて製材業で栄えたペンシルベニア州ウィリアムズポートで16日にあった集会で、バンス氏が民主党候補のハリス副大統領(60)を批判すると、支持者約1300人で埋まった会場から歓声が上がった。  バンス氏は過去に出産経験のない女性を中傷したことが発覚して批判が殺到し、一時は共和党候補のトランプ前大統領(78)の足を引っ張っているとも言われた。  しかし今月1日の副大統領候補討論会で弁舌の巧みさや安定感を発揮して挽回。集会に参加した女性(69)が「率直で有能だ」と話すなど、評価は上がっている。

◆被災地巡りやオバマ元大統領との共闘で

2024年8月21日、米シカゴの民主党大会で演説する副大統領候補のティム・ウォルズ氏=鈴木龍司撮影

 選挙戦で副大統領候補は大統領候補とは別行動で激戦州を行脚し、集会やイベントを回ることが多い。陣営として有権者との接点を増やすことに加え、よりターゲットを絞った働きかけも求められている。  ウォルズ氏は17日、ノースカロライナ州でクリントン元大統領と選挙活動を展開し、期日前投票を呼びかけた。州内はハリケーン「ヘリーン」で大きな被害が出ており、支援活動のボランティアも激励。トランプ氏は民主党政権が「共和党支持者の多い地域の人々を助けようとしない」と主張しており、寄り添う姿で支持離れを防ぐ狙いがあるとみられる。  22日にはウィスコンシン州で黒人初の大統領となったオバマ氏と支持の呼びかけに回る。ハリス氏は黒人男性の支持が伸び悩んでおり、援護射撃する格好だ。  ウォルズ氏は元高校教師の経歴などで「庶民派」をアピールして労働者の共感を得ようとするほか、ハリス氏が苦戦する白人の労働者男性の支持つなぎ留めも図っている。 

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