【ソウル=木下大資】韓国の元徴用工訴訟で2018年に勝訴し、韓国政府の発表した「第三者弁済」による解決策を拒んでいた存命の原告側が30日、受け入れに転じた。政府傘下の財団が同日、敗訴した日本企業の賠償金と遅延利子に相当する額を支払った。  原告は、日本製鉄釜石製鉄所で働いた李春植(イチュンシク)さん。すでに100歳を超えて療養病院に入院しており、「正常な意思表示ができる状態ではない。納得できない」と話す家族もいる。弁済受け入れを巡って複数の家族の中で考えの違いがあったとみられる。

2019年8月15日、ソウルの日本大使館前で日本政府の謝罪を求める李春植さん(前列車いす右)

 訴訟の支援団体は「高齢の生存被害者に正常な認知能力がない状態を利用し、政府が無理に第三者弁済を進めることを糾弾する」との声明を出した。

◆原告15人のうち2人の遺族は拒否変えず

 18年に勝訴した原告15人のうち、戦時中に動員された当事者は、昨年3月の解決策発表時点で3人が生存(1人は今月5日に他界)していたが、全員が弁済を受け入れたことになる。2人の遺族が今も拒否する姿勢を変えていない。  これ以外に、昨年末から類似の訴訟で原告勝訴が相次ぎ、財団によると第三者弁済の財源として現在100億ウォン(約11億円)程度が不足している。 

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