【ワシントン=鈴木龍司】米民主党のバイデン大統領(81)が29日、共和党のトランプ前大統領(78)の支持者を「ごみ」と表現し、反発を招いている。トランプ氏を支援するコメディアンがカリブ海の米自治領プエルトリコを「ごみの島」と呼んだことへの反論だったが、失言がハリス副大統領(60)の足を引っ張る可能性がある。

◆ハリス氏も釈明に追われる

 バイデン氏は中南米系の団体との電話会議で「プエルトリコ系は善良で礼儀正しく、立派な人々だ」と擁護し、トランプ氏が27日にニューヨークで開いた集会でのコメディアンの発言を批判。その上で「世間に漂っているごみは彼(トランプ氏)の支持者だけだ」と述べた。

バイデン氏=2020年2月撮影

 トランプ氏は30日に南部ノースカロライナ州で開いた集会で「(私の支持者を)『ごみ』と呼んだのはバイデン氏とハリス氏の本心だ」と非難。「国民を愛していなければ米国を率いることはできない」と攻撃した。遊説先の中西部ウィスコンシン州ではごみ収集車に乗るパフォーマンスを見せ、バイデン氏の発言を皮肉った。  バイデン氏はX(旧ツイッター)で「プエルトリコに対する憎悪に満ちた(コメディアンの)言葉を『ごみ』と呼んだ。中南米系へのトランプ氏の悪口は不当だ」と釈明。ハリス氏は30日、報道陣に「私に投票しない人々も含め、すべての国民の代表になるつもりだ」と述べるなど、火消しに追われた。  コメディアンの「ごみの島」発言後、プエルトリコにルーツを持つ人気歌手のジェニファー・ロペスさんやラッパーのバッド・バーニーさんらがハリス氏への支持を表明。米メディアによると、両陣営が重視する激戦州の東部ペンシルベニア州はプエルトリコ系が人口の3.8%を占め、トランプ氏に不利になるとの見方が出ていた。 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。