スペイン東部で発生した大規模な洪水被害。

被災地を訪問した国王夫妻に、住民が泥を投げつけるなどの騒ぎが起きました。

10月29日から30日にかけて、バレンシア地方は記録的な洪水に見舞われました。

“今世紀最悪の洪水”といわれ、これまでに200人以上が死亡。

水が引いた後も街の広範囲で大量の土砂が残ったまま。

こうした中、11月3日、スペインの国王フェリペ6世とレティシア王妃は被害の集中したパイポルタの街を訪れました。

ところが、国王夫妻に向けられたのは、歓迎の声ではなく「帰れ!帰れ!」「人殺し!人殺し!人殺し!」などといった罵声でした。

さらに、住民が国王夫妻に向かって泥を投げつけ始めたのです。

まるで暴徒と化した住民。訴えていたのは救助や支援の遅れによる怒りです。

「街の中には死人がいる!パイポルタの中にはまだ死人がいる!」と声を上げる住民もいました。

国王は泥まみれになりながらも、落ち着かせようと住民の手を握ります。

そして、レティシア王妃の顔にも泥が。大混乱の中で、王妃は泣きながら被災者を慰めます。

国王夫妻は約1時間にわたり、興奮する住民に寄り添い、対話を続けました。

一体なぜ、怒りの矛先が国王へと向けられたのか。

フェリペ6世は2014年、スペインの国王に即位。当時から多くの国民に歓迎され、非常に人気の高い国王です。

フジテレビの立石修解説委員室長によると、「(洪水被害で)国の対応に対する国民の怒り・やり場のない感情が一気に爆発して国王にむけられた」といいます。

被災地訪問の直後、国王はSNSで「被災地域の住民の怒りを理解しなければならない。国が寄り添うことを保証しなければならない」とコメントしました。

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