韓国軍合同参謀本部は4日、北朝鮮が10月に爆破した南北をつなぐ道路や鉄道の上に、戦車の走行を妨げる「対戦車壕(ごう)」を2カ所で設置したのが確認された、と発表した。北朝鮮は昨年末以降、「平和統一」の対象としていた韓国を敵視する政策に転換しており、韓国軍は、韓国を「敵対国家」だと強調する動きの一つとみている。
韓国軍によると、設置したのは南北の軍事境界線の北側で、朝鮮半島の西部を走る「京義線」と東部を走る「東海線」の上。北朝鮮側は穴を掘って溝をつくり、コンクリートで固めたほか、盛り土で高さ5~11メートルの壁を構築したという。
工事には多くの兵士が動員されて今月2日まで続いた。1日には国旗を掲げて写真を撮影する姿もとらえたとしている。
韓国軍は盛り土を埋めれば元に戻せることから、「見せるための工事だ」とみている。北朝鮮側には韓国と分断する姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。
北朝鮮は10月、韓国を「敵対国家」とする改憲を行ったとみられており、対韓国政策を担う組織の名称から「統一」をとるなどの名称変更や解体も進めている。
朝鮮中央通信は3日、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)政権を批判する白書を配信した。白書を出したのは「対敵研究院」で、韓国の統一省は「祖国統一研究院」が名称を変えた可能性があると指摘した。(ソウル=太田成美)
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