日本の酒が世界から脚光を浴びそうです。日本酒や焼酎などの「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなりました。全国で2番目に数が多い信州の酒蔵からも喜びの声が上がっています。

湯川酒造店・湯川尚子社長:
「長年、日本酒造りに携わっている身として、大変ありがたいですしうれしい。未来の見えることだなと」

木祖村の湯川酒造店の湯川尚子社長。日本の酒造りの技術が改めて高く評価されたことを喜んでいます。

「伝統的酒造り」は、杜氏や蔵人などがこうじ菌を用い、日本各地の気候風土に合わせて経験に基づき築き上げてきた酒造りの技術で、日本酒や焼酎などの製造に受け継がれてきました。

ユネスコの評価機関が無形文化遺産に登録するよう勧告し、12月の政府間委員会で正式に登録される見通しです。

日本の無形文化遺産は、和食や風流踊などが登録されていて、酒造りが登録されれば23件目です。

湯川酒造店は、江戸時代の1650年の創業。標高が高く、冬の冷え込みが厳しい環境に対応しながら、手間暇かけて酵母を育て、酒造りを進めてきました。

2023年は、世界的なワインコンクールのSAKE部門で最高賞を受賞。酒造りの技術は世界でも評価されています。

無形文化遺産への登録は、日本酒の魅力を再認識するきっかけになるとしています。

湯川酒造店・湯川尚子社長:
「日本人が自分たちのアイデンティティ―である日本酒というものが、これだけ評価される素晴らしいものだと理解する、いいきっかけなんじゃないかな」

「水尾」の看板銘柄で知られる飯山市の田中屋酒造店。酒蔵では、5日も発酵させたこうじを乾燥させる作業などに追われていました。

5年前の台風19号災害では浸水被害に遭いましたが、ボランティアの支援なども受け1カ月足らずで復旧。伝統の酒造りを続け、創業150年を迎えました。

日本酒の消費量は年々減っていますが、ユネスコ登録により、より多くの人が楽しむきっかけになればと期待しています。

田中屋酒造店・田中匠専務:
「それぞれに日本酒は文化があって、歴史があるので、文化的側面が認められてうれしい。日本の中でも、日本酒の味わい方が変わってくると、もっともっと楽しいかと思います」

全国で2番目に酒蔵が多い信州。今年のワインコンクールのSAKE部門では、優秀な成績を収めた酒蔵が多い地域を表彰する「地域賞」にも選ばれていて、信州の酒を世界に発信するさらなる追い風となりそうです。

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