【ニューヨーク=長尾里穂】米サプライマネジメント協会(ISM)が5日発表した10月の米非製造業(サービス業)景況感指数は56と前月から1.1ポイント上昇し、2年3カ月ぶりの高水準となった。市場予想(53.8)も上回った。人手不足に伴う従業員の確保を急ぐ企業が増え、雇用に関する指数が改善した。
好不況の分かれ目を示す50も4カ月連続で上回った。50割れが続く米製造業と比べ、米サービス業の底堅さを示す。指数全体を押し上げたのが雇用に関する項目だ。雇用環境の指数は4.9ポイント上がり、53だった。
回答企業からは「休日のピーク時に短期労働者を雇っている」。「離職者のポジションの補充に苦労している」といった声が上がった。
新規受注に関する指数は2ポイント低下し、57.4だった。企業活動を表す指数は2.7ポイント下がり57.2だった。材料などの仕入れ価格を示す指数は1.3ポイント下がり58.1となった。米国の会計年度末で企業活動が増えていた9月と比べ数値が下がったものの、いずれも節目の50を上回っている。
納期を示すサプライヤー指数は56.4と4.3ポイント上がった。この指数は上昇するほど納期に遅れが生じていることを示す。9月から10月にかけて発生した大型ハリケーンや10月初旬の港湾労働者のストライキの影響を受けた。
回答企業からは「ハリケーンの影響で点滴用品の不足が発生し始めている。港湾ストライキも医薬品材料の出荷に影響を及ぼした」(医療)。「港湾ストライキの影響で出荷先を変更せざるを得なかった」(宿泊・飲食)といった声が上がった。
それでも遅延は想定より軽微だったとの見方もある。調査を担ったISMのスティーブ・ミラー氏は「港湾労働者のストライキは期間が短かったため、懸念されていたほどの影響はなかった」と指摘した。
5日に投票が始まった米大統領選の行方も企業の活動に影響する。ミラー氏は「政治的不確実性に対する企業の懸念は、前月よりも高まった」と付け加えた。企業からは「選挙の結果が出るまで新たな投資を止めている」との声も出ていた。
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