国務長官に対中強硬派のルビオ氏と複数のメディア
マルコ・ルビオ氏とは
安全保障政策担当の大統領補佐官にウォルツ氏起用か
マイク・ウォルツ氏とは
環境政策担う長官にゼルディン氏指名へ 規制緩和の方針鮮明に
国連大使にステファニク氏指名へ
エリス・ステファニク氏とは
米報道 “政策担当次席補佐官にミラー氏”
有力紙、ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは11日、関係者の話として、トランプ氏がフロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員を次期政権の国務長官に指名する方向で検討していると伝えました。ルビオ氏は、中国やイランに対する強硬派として知られ、今回のアメリカ大統領選挙では一時、トランプ氏の副大統領候補としても名前が挙がりました。ただ、このうちニューヨーク・タイムズは、トランプ氏の意向が変わる可能性も残されていると伝えています。
マルコ・ルビオ氏は、両親がキューバ人の移民2世。2016年の大統領選挙では共和党の候補者指名争いでトランプ氏に敗れましたが、「若手のホープ」として注目を集め、党内で将来を期待されてきた人物です。外交政策では、中国の人権問題を強く非難するなど、対中強硬派として知られ、中国から軍事的な圧力を受ける台湾を支援する姿勢を示しています。また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐっては、トランプ氏と同様に、交渉を通じた解決を目指す立場です。しかし、時にはトランプ氏の主張とは一線を画す姿勢もみせ、アメリカの大統領が議会上院の事前の同意なく、NATO=北大西洋条約機構から脱退することを禁止する法案をまとめ、成立させました。ウクライナへの支援をめぐり、トランプ氏がNATO加盟国への不満をたびたび口にする中、トランプ氏が大統領に返り咲いても、独断でNATOから脱退できないよう歯止めをかけるものだとして注目を集めました。
アメリカの主要メディアはホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議を束ねる安全保障政策担当の大統領補佐官について、トランプ氏がマイク・ウォルツ下院議員を起用する方針を固め、本人に打診したと伝えました。ウォルツ氏は陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」の一員として中東やアフガニスタンなどに派遣されたことがある元軍人で、ウクライナへの軍事支援の継続に否定的な立場を表明しています。トランプ氏は、大統領選挙で勝利して以降、すでに首席補佐官などの起用を発表したほか、外交や安全保障に関わる重要ポストの人選を急ピッチで進めていると伝えられています。こうした人事は、中東やウクライナ情勢、さらに中国をめぐる次期政権の対応にも大きな影響を与える可能性があるだけに、トランプ氏の選択に関心が集まっています。
マイク・ウォルツ氏は、フロリダ州選出の共和党の下院議員で、対中強硬派として知られ、中国軍に対抗するためアメリカ海軍の艦船や装備の増強を主張しています。27年間にわたり陸軍や州兵に所属し、陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」の一員としてアフガニスタンに駐留していたこともあります。自身のホームページによりますと、グリーンベレーの隊員を経て下院議員になったのはウォルツ氏が初めてで、ホワイトハウスや国防総省で政策立案に関わった経験もあるということです。ウクライナ情勢をめぐってウォルツ氏は、去年12月、NHKのインタビューに対し、ロシア軍の侵攻当初は「プーチン氏を食い止める必要があった」として、軍事支援に賛成だったものの、戦闘が長期化するにしたがって反対の立場に転じたと説明していました。その上で、「バイデン大統領は白紙の小切手を切る前に戦略を示す必要がある」と述べ、バイデン政権の対応を批判していました。また、ウォルツ氏はトランプ氏と同様に、NATO=北大西洋条約機構の加盟国それぞれが防衛強化のためのさらなる費用を負担すべきだという考えを示しているほか、たびたびメディアに出演し、移民政策などをめぐってトランプ氏の立場を支持してきたことでも知られています。
トランプ氏は11日、新政権で環境政策を担うEPA=環境保護局の長官に、みずからを支持してきた共和党のリー・ゼルディン元下院議員を指名すると声明で発表しました。声明では、ゼルディン氏について「公平で迅速な規制緩和の決定をアメリカ企業の力を解き放つ方法で確実に実行するだろう。同時に、地球上もっともきれいな空気と水を含む、最高の環境基準を維持していく」としています。トランプ氏はバイデン政権が気候変動対策を主要な政策課題と位置づけ、自動車の排気ガスの基準や石油や天然ガスの採掘や生産などについて規制を強めてきたことを批判していて、これまでの主張どおり新政権発足後、速やかに規制緩和に取り組む方針を鮮明にしました。また、ゼルディン氏は発表を受けて「トランプ氏の政権に参加できて光栄だ。アメリカのエネルギー分野での優位性を回復し、自動車産業を活性化させてアメリカの雇用を取り戻す」とSNSに投稿しました。
共和党のトランプ氏は11日、声明を発表し、国連大使に、議会下院の共和党指導部ナンバー3の要職を務めるエリス・ステファニク議員を指名する考えを明らかにしました。ステファニク氏は大統領選挙で応援演説を行うなどトランプ氏を強く支持していて、一時は副大統領候補への起用も取り沙汰されていました。トランプ氏は声明の中で、ステファニク氏について「強く、とても賢い、アメリカ第一主義の戦士だ。すばらしい国連大使となるだろう」と評価しています。
エリス・ステファニク氏は東部ニューヨーク州出身の40歳。2014年にニューヨーク州選出の連邦議会の下院議員に30歳の若さで初当選し、今回、大統領選挙と同じ日に行われた下院の選挙で6回目の当選を果たしました。ステファニク氏は、議会下院の党指導部で、ナンバー3の役職の党会議議長を務めています。3年前、トランプ氏の批判を続けていた議員が党会議議長を解任されたのに伴い、トランプ氏への支持を打ち出していたステファニク氏がその後任につきました。ステファニク氏は今回の大統領選挙でもトランプ氏への支持を表明し、選挙集会で演説するなどして支援していました。
CNNテレビは、前のトランプ政権で上級顧問を務め、トランプ氏のスピーチライターでもあったスティーブン・ミラー氏が、政策担当の次席補佐官として起用されると報じました。これについて副大統領に就任するバンス氏は、SNSで「すばらしい人選だ。おめでとう!」と投稿し、ほかのアメリカメディアもミラー氏の起用が固まったものと伝えています。ミラー氏は移民に対する強硬な姿勢で知られていて、内政、外交ともにトランプ氏が重視する政策の遂行のため、中心的な役割を果たすポストの人選が進んでいます。
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