【バンコク=藤川大樹】タイ中央銀行の次期理事長を選出する委員会は11日、政府が推すキティラット元副首相兼財務相を選んだ。政府と中銀は金融政策を巡り対立しており、政府は中銀への影響力を強める可能性がある。

◆総裁の評価など金融政策に間接的に影響力

 政府は景気を下支えするため政策金利の引き下げを要請してきたが、インフレを警戒する中銀は抵抗。中銀は10月16日の金融政策委員会で2020年5月以来、約4年半ぶりにようやく政策金利を引き下げた。

観光客が行き交うバンコク市内の一角(資料写真)

 中銀理事会のポラメティー理事長は9月に任期を終え、政府は後任にセター前首相の顧問で中銀の金融政策に批判的なキティラット氏を推薦。理事長は金融政策を決定する権限はないものの、中銀総裁の業務を評価したり、金融政策委員会の人事に関与したりできる。  元中銀総裁や経済学者らは政府の「政治的干渉」に懸念を表明。「目先の利益を優先し、長期的な経済安定を損なう恐れがある」などと主張し、中銀の独立性を守るよう訴えていた。  過去に財務次官や商務次官などの要職を担った7人のメンバーで構成される選出委員会は10月8日に1回目の会合を開いたものの、決定を先送り。11月4日の会合も延期されていた。 

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