【ワシントン=芦塚智子】米共和党の女性下院議員が18日、連邦議会の建物内で議員や職員らが「生物学上の性別」に合致しないトイレや更衣室を使用することを禁じる決議を提出した。5日の下院選で当選しトランスジェンダー(出生時の性と自認する性が一致しない人)を公表する初の連邦議員となるサラ・マクブライド氏(民主党)を狙ったとみられ、物議を醸している。
決議を提出したのは南部サウスカロライナ州選出のナンシー・メイス議員。X(旧ツイッター)への投稿で「生物学上の男性はプライベートな女性の空間には属さない」と強調。さらに動画で「過激左派は、私が女性と少女たちの権利を守るために闘うフェミニストであることで、過激派と呼んでいる」と批判し、女性の安全を守るために闘うと力説した。
マクブライド氏は声明で「これは米国民が直面する問題への真の解決策を持たないという事実から目をそらそうとする過激右派のあからさまな試みだ」と述べ、「文化戦争のでっち上げよりも、住宅や医療、保育のコスト引き下げに集中すべきだ」と訴えた。
民主のフィリップス下院議員はXへの投稿で、自認する性に合ったトイレを使用することは「常識だ」とし「禁止は非米国的」と決議案の提出を批判した。
トランスジェンダーの人々のトイレ使用問題は、米国で保守派とリベラル派の価値観を巡る対立「文化戦争」の火種となってきた。性的少数者の権利擁護団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」によると、共和が優勢な州を中心に14州がトランスジェンダーの人々による自認する性のトイレ使用を禁止している。
オバマ元政権は公立学校に自認する性のトイレ使用を認めるよう通達を出したが、トランプ前政権が撤回した。
トランプ次期大統領は大統領選で、トランスジェンダーの女子スポーツ参加を禁止すると公約している。第1次政権ではトランスジェンダーの米軍入隊の原則禁止を指示した。
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