ウクライナ空軍は21日、ロシア軍が同国南部カスピ海沿岸のアストラハン州から、ウクライナ中部の産業都市ドニプロに向け、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した、と発表した。被害などについては明らかにしていない。一方、発射されたのはICBMではないと、西側当局者が否定しているとの報道も出ており、情報が錯綜している。
ウクライナ空軍の発表によると、ドニプロは21日午前5時から同7時にかけて、ICBMだとする兵器のほか、戦闘機から発射される極超音速兵器「キンジャル」や、戦略爆撃機から発射される射程4千キロ以上の巡航ミサイルなどによる攻撃を受けたという。ウクライナ軍は6発の巡航ミサイルを撃墜したとし、「その他のミサイルについても重大な被害はない」としている。一方、ウクライナの検察当局などは、ドニプロと中部クリビーリフで、17人が負傷したとしている。
米国は今月、ウクライナに対し、これまで認めてこなかった米国提供の長射程ミサイルによるロシア領土への攻撃を承認したとされる。欧米のメディアによると、ウクライナ軍は19日に米国製の「ATACMS(アタクムス)」、20日には英国製の「ストーム・シャドー」を使用し、ロシアによる報復攻撃の懸念が高まっていた。
ロシアのプーチン大統領は19日、核兵器の使用方針を定めた文書を改定し、核兵器保有国から支援された非核保有国の攻撃も、核兵器による反撃の対象になると示唆。欧米のウクライナ支援強化に対して「核の脅威」を見せつけ、強く警告している。(喜田尚、ロンドン=藤原学思)
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