逮捕状が出されたのは、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相、それに、イスラム組織ハマスの軍事部門、カッサム旅団のデイフ司令官の3人です。
オランダ・ハーグにあるICCでは、検察局が去年10月のハマスによるイスラエルへの襲撃と、その後のイスラエル軍によるガザ地区での軍事作戦をめぐって捜査を行い、双方の関係者の逮捕状を請求していました。
これを受けて裁判部が逮捕状を出したもので、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相については、手段として飢餓を利用し、戦争犯罪などに関わった合理的な根拠があるとしています。
また、ハマスのデイフ司令官については、イスラエルに対する襲撃で民間人を殺害し、人道に対する犯罪などに関わったとしています。
イスラエル軍はデイフ司令官がすでに死亡したと発表していますが、ICCは死亡を判断できていないとしています。
ICCとしてはイスラエルとハマスの双方の指導者に対して同時に逮捕状を出すことで、双方の責任を追及する姿勢を示したかたちです。
ICCによる逮捕状とは
ICC=国際刑事裁判所には日本やパレスチナ暫定自治政府など124の国や地域が加盟し、所長は日本人の赤根智子氏がつとめています。
加盟する国や地域は、ICCから逮捕状が出されている人物が域内にいた場合、身柄を拘束して裁判所に引き渡す義務を負います。
イスラエルやロシア、それにアメリカや中国などは加盟しておらず、逮捕状が出された人物がこれらの国にいる場合、実際に逮捕される可能性は極めて低いのが実情です。
ただ、ICCに加盟している国や地域への渡航は難しくなり、政府関係者の場合には外交活動などが制限される事態も想定されます。
一方で、ことし9月には、逮捕状が出されているロシアのプーチン大統領がICC加盟国のモンゴルを訪問しましたが、モンゴル政府は逮捕しませんでした。
モンゴルにとってロシアは重要な貿易相手国で、両国関係を重視したものとみられていますが、ICCの関係者は加盟国であっても逮捕されずに訪問できるという誤った前例になるとして、懸念を強めています。
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