政変後に初訪中したミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官㊧に、中国の李強首相は支援を表明した(6日、中国雲南省)=CCTV

ミャンマー軍事政権トップのミンアウンフライン国軍総司令官が2021年のクーデター後、初めて中国を訪問した。会談した李強首相は軍政が来年に計画する総選挙などへの支援姿勢を示した。

いまのミャンマー危機は、民主政府を転覆し、武力弾圧を続ける国軍が招いた。軍事・経済両面で大きな影響力を持つ中国がやるべきは身勝手な選挙の後押しより、まず軍の暴力を止めることだ。

総司令官は6〜7日に雲南省で開いたメコン川流域国の首脳会議のため訪中した。李氏は「ミャンマーの国情に合った発展の道を選べるよう支援する」と表明した。

国軍はアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した20年の選挙に不正があったと強弁して全権を奪い、23年8月までに再選挙を行うと宣言した。だが治安情勢悪化を理由に非常事態宣言の延長を重ねる。最近は民主派や少数民族の反軍勢力との武力衝突でも劣勢に立たされる。

権力の正統性を主張したい軍政は、25年中に総選挙を強行すべく国勢調査を始めた。訪中時にタイやベトナムなどの首脳とも会談し近隣諸国の信認を誇示した。

同じく後ろ盾と頼むロシアには何度も訪れたのに、隣国への訪問までに4年近くかかったのは、中国側が不信感を抱いたからだ。

中国はかねて国軍と民主派双方と関係を築いてきた。政変後もNLDの解党を避けるよう釘を刺しても国軍は無視した。今年初めに仲介した国軍と少数民族勢力の停戦合意も守られていない。

軍政支援を通じ、中国にはミャンマー内に持つ経済権益を守る思惑が透ける。だが形ばかりの民政復帰を取り繕っても、反軍勢力の抵抗が収まるとは思えない。国軍の暴力を制止し、反軍勢力との対話を促すことが、長い目でみた中国の国益にもかなうはずだ。

国際社会が手をこまねく間、国軍は約6千人を殺害し、国内避難民は300万人を超す。人道危機を見過ごさないため、日本は中国との協調も排除すべきではない。

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