36年間にわたり、世界の日本語学習者を支援する活動を続けてきた大森和夫さん(84)、弘子さん(84)夫妻が「日本語作文コンクール」を再開する。今年8月、体調不良を理由に活動を終了したが、海外の大学生や日本語教師から終了を惜しむ声があり、再開を決めた。
- 自宅4畳半から夫婦ではじめた日本語交流 36年間の集大成を出版
大森さん夫妻は、日本文化や生活情報などを載せた季刊誌「日本」などを発行。1989年からは、日本語を学ぶ留学生らの作文を表彰する「日本語作文コンクール」を開いてきた。これまでの26回で92カ国・地域、6万作品以上の応募があった。
だが、昨年、和夫さんが前立腺がんを患うなどし、夫婦ともに体力の限界を感じていた。今年8月、「世界の日本語学習者が書いた 素顔のニッポン」(朝日新聞出版)を出版。これを集大成とし、すべての活動を終えることを決めた。
活動終了を伝えると、これまでの活動で知り合った大学生や日本語教師から、「コンクールがなくなるのは、とても残念」「もう一回、再開してほしい」などと再開を求めるメールが毎週のように届くようになった。これまでに、中国、台湾、韓国、タイ、ベトナムなど、10カ国・地域以上の人たちから連絡があったという。
そんな声に背中を押された夫妻は、「もう一度、挑戦してみよう」と、コンクールの再開を決めた。がんを患う和夫さんは、医師の診察を受けながら活動を続ける。「今までやってきたことの意義を改めて感じた。期待にこたえたい。これが本当に最後です」と話す。
コンクールのテーマは「『一番好きな日本語』は、何ですか?」。夫妻が運営する「国際交流研究所」のホームページ(https://www.nihonwosiru.jp/)で応募を受け付けている。日本語を勉強し、研究している外国籍の人なら誰でも応募できる。締め切りは来年5月1日。同年8月16日に結果が発表される。(藤原伸雄)
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