【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリア議会は28日、16歳未満のSNS利用を禁止する世界初の法案を可決した。対象はX(旧ツイッター)やTikTokなどで、子どもが接続できないようにする対応を怠った企業には罰金が科される。
親の同意にかかわらず、子どものSNS利用が禁止されるのは国家レベルでは初となる。法律は成立後、1年後に施行される。
画像投稿サイト「インスタグラム」や「フェイスブック」なども対象となる。運営するIT(情報技術)企業は子どものアカウント作成を阻む措置を確立する必要がある。
違反すれば運営企業には最大で4950万豪ドル(約50億円)の罰金が科される。もしルールを破って子どもがSNSを利用しても自身や保護者が罰せられることはない。
アカウントなしで視聴できる動画投稿サイト「YouTube」やメッセージアプリ、オンラインゲームなどの一部サービスは規制対象から免れた。
豪上院が28日、可決した。27日には下院で可決しており、年内最後の議会の会期終了を控えて与野党が合意した。
豪州ではSNSを通じて子どもが暴力的な動画などの有害コンテンツに接したり、いじめの温床になったりするとの懸念が広がっていた。利用禁止を法制化し、子どものこころの健康を守る狙いがある。
ただ効果には疑問符もつく。仮想私設網(VPN)を使って位置情報を操作すれば子どもでもSNSに接続できるとの指摘もある。アカウント作成時の年齢確認をどう徹底するかも課題だ。
今後、政府が発行する身分証明書を使った年齢認証の仕組みを試験導入する計画だ。SNS利用時に身分証明書のアップロードが求められれば、16歳以上の利用者が個人情報をIT企業に渡すことになる。政府はIT企業には個人データの削除を求めると説明している。
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