トランプ次期米大統領(ロイター=共同)

 【ワシントン共同】来年1月のトランプ次期米大統領就任を前に、米企業の間で多様性・公平性・包括性(DEI)推進の取り組みを後退させる動きが目立っている。小売り大手ウォルマートはDEIの用語不使用や多様性を考慮した取引先への優遇措置撤廃を決めた。DEIに反対する保守派が企業に圧力を高めていることが背景にある。  AP通信によると、ウォルマートは11月25日、DEIに関する従業員への研修をやめ、性的少数者擁護団体による企業調査への参加中止を明らかにした。同社は約160万人が働く雇用の大きな受け皿。他社の方針にも影響するとみられている。  米中西部で2020年に黒人男性が白人警察官に暴行されて死亡した事件を受け、企業の人種的不公平への反発が拡大。各社はDEI確保を推進してきた。  連邦最高裁が23年6月、大学の入学選考で有色人種を優遇する積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を違憲と判断。これを契機に、保守派が企業のDEI政策は「逆差別」だとして撤回を求める動きが強まった。ウォルマートも著名な保守活動家から圧力を受けていた。

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