ブラックロックのラリー・フィンクCEOはHPS買収を通じ、ファンド融資で先行する他社を追う=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】世界最大の運用会社、米ブラックロックは3日、プライベートクレジット(ファンドによる融資)大手の米HPSインベストメント・パートナーズを約120億ドル(約1兆8000億円)で買収すると発表した。高成長が続くファンド融資分野で運用資産や顧客接点を増やす狙いだ。

ブラックロックの株式を対価にした買収で、規制当局の承認を経て2025年半ばに買収完了を見込む。07年創業のHPSは約1480億ドルの運用資産を持つ。米金融大手ゴールドマン・サックス出身のスコット・カプニック最高経営責任者(CEO)らが同JPモルガン・チェース系の運用会社に移籍し、同社子会社として設立。16年に分離独立した。

ブラックロックのラリー・フィンクCEOは声明で「HPSの規模や能力、専門性を得て、ブラックロックはパブリック(公開市場)とプライベート(未公開市場)を融合した解決策を顧客に提供していく」と述べ、買収の狙いを説明した。

ブラックロックの既存の運用資産も合わせると、HPS買収によりファンド融資の運用資産は約2400億ドル。同分野で五指に入る運用規模になるという。米アポロ・グローバル・マネジメントや米アレス・マネジメントなどファンド融資の規模で先行する米大手投資会社を追う構えだ。

ブラックロックは英調査会社プレキンの推計を引いて、ファンド融資の市場規模が2023年時点の1兆7000億ドルから30年には4兆5000億ドルへと2.6倍に膨らむとの見方を示す。個人投資家や保険会社の運用資金がファンド融資に流れ込むほか、M&A(合併・買収)増加に伴う買収資金の調達ニーズの高まりなどが市場拡大を促す。

市場急拡大によりファンド融資に関する提携は相次いでいる。アポロは米金融大手シティグループや仏銀大手BNPパリバと連携し、ファンド融資の案件を共同で組成に動いている。みずほ銀行は10月、ファンド融資大手の米ゴラブ・キャピタルに少額出資した。

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