経済予測や開示の方法を見直す英イングランド銀行

【ロンドン=大西康平】英イングランド銀行(中央銀行)は12日、経済・物価予測や公表方法の見直しに向けた報告書をまとめた。2022〜23年のインフレの上振れを予測できずに利上げの対応が遅れ、市場との対話も不十分だった状況を改善する狙いだ。

イングランド銀行は、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ元議長を招いて検討を進めてきた。今回示された案を検討し、最終的な導入の是非を決める。

報告書では、経済・物価予測の不確実性を詳しく説明し、予測が外れた場合にはその理由を分析して明らかにすることが求められた。インフレの上振れや下振れなど複数のシナリオを想定した予測の公表も案として示された。

金利先物が示す市場予想による将来の政策金利に基づいて公表していた経済予測のグラフについては廃止すべきとした。

バーナンキ氏が議長在任中にFRBが取り入れた「ドットチャート」の導入の可能性も事前に市場では浮上していた。金融政策委員会の各メンバーが適切と考える将来の政策金利の水準を、それぞれ点で示して分布図でまとめるものだ。

こうした手法の導入は「決定的な変化となるため、将来の検討事項としたい」として判断を見送った。

イングランド銀行は英国の物価上昇率について、22年前半に前年同月比で約7%でピークに達する可能性が高いとの経済予測を出していたが、実際には22年後半に11%を上回った。

四半期に1回の世論調査では、23年8月時点で「イングランド銀行によるインフレ制御のための政策金利の決定をどう思うか」との質問の回答で、満足から不満足を引いた割合がマイナス21ポイントと過去最低を更新していた。

これまでもFRBの元幹部を招いて金融政策決定プロセスの改善に取り組んできた。14年にはケビン・ウォーシュ元理事が主導し、金融政策発表と同じタイミングで議事要旨を公表することが提案された。

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