【サンパウロ、ブリュッセル=共同】南米のブラジルやアルゼンチンなどでつくる関税同盟メルコスル(南部共同市場)と欧州連合(EU)は6日、ウルグアイの首都モンテビデオで首脳級会合を開き、自由貿易協定(FTA)に関して最終合意した。2000年4月の交渉開始から25年近くを経て決着にこぎ着けたものの、EU側の発効手続きは難航する恐れもあり不透明感が残る。
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人口計約7億人以上の自由貿易市場が誕生することになる。今後、日本でもメルコスルとの交渉を求める声が高まる可能性もある。
最終合意には、関税引き上げを唱える来年1月のトランプ米政権発足を念頭に置き、南米と欧州の間で貿易を活性化させ保護主義に対抗する狙いもあるとみられる。EU行政執行機関トップのフォンデアライエン欧州委員長は記者会見で、保護主義の台頭に言及した上で「私たちは、開放と協力こそが進歩と繁栄の真の原動力だと信じている」と意義を強調した。
FTA締結による関税撤廃で、欧州にとって自動車や機械などの輸出増が期待できる。EUによると、EU域内の企業は年間40億ユーロ(約6300億円)に上る関税の支払いを抑えられる。一方、南米から安価な牛肉などが流入することになり、農業大国フランスやポーランドから悪影響を懸念する声が出ている。
交渉は利害の衝突を繰り返し、何度も中断。19年の大枠合意後も、欧州諸国がFTAを盾に取ってブラジルに気候変動対策の強化を迫るなど紆余曲折があった。〔共同〕
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