北朝鮮による拉致被害者の家族などが4月29日から訪米し、政府要人、議会関係者、シンクタンクの有識者などと精力的に面会を行っている。
4月29日にはアーミテージ元国務副長官らと面会し、4月30日は国務省のゼヤ次官、クリテンブリンク次官補、駐日米大使を務めたハガティ上院議員らを訪問した。
5月1日も北朝鮮の人権問題を担当するターナー特使を始め、議員らとの面会を行った。
今回の訪米にあたっては、北朝鮮が全ての被害者の一括帰国を約束すれば、日本政府の人道支援や独自制裁の解除に反対しないとする新たな活動方針を説明することが1つの大きな目的だ。
4月30日に首都ワシントンで行われた記者会見には、家族会代表で、横田めぐみさんの弟・拓也さんや、田口八重子さんの長男・飯塚耕一郎さん、超党派の拉致議連のメンバーらが出席した。
横田拓也さんは対話路線に軸足を移した新方針について親世代が高齢化し、時間的な制約がある中での「苦渋の判断」との思いを面会の際に訴えたと話した。
また飯塚耕一郎さんも、「家族が元気なうちに笑顔に抱き合う必要がある。切迫した状況をお伝えさせて頂いた」と強調した。
記者会見の日までに面会した誰からも新方針に対する反論、異論はなかったという。
横田拓也さんは、母親の早紀江さんの写真を見せながら面会を行ったとし、複数の要人からは早紀江さんを気遣う発言があったと話した。
また、ハガティ氏からは「あなたとは友達であり、一緒に闘っていく」と声を掛けられと明かし、「課せられた時間の重さや残酷さは深くまで伝わった」との実感を示した。
さらに、NSC=国家安全保障会議のラップフーパー上級部長からは「自分にも子どもがいるので、お母さんの苦しい思いはよく分かる」との言葉もあったとし、個人的なアドレスに「いつでも連絡をしてきてほしい」と言われたと謝意も示していた。
岸田首相は拉致問題の解決に向け、金正恩総書記との会談実現に意欲を示しているが、一連の面会では、拉致問題を主要テーマとする、日朝首脳会談の実現に向けても米国側の理解を得たとしている。
一行は5月3日に帰国の途につく予定。
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