内戦が続いてきたシリアでは11月下旬以降、攻勢を強めた反政府勢力が8日、首都ダマスカスを制圧し、親子2代、半世紀あまりに及んだ独裁的なアサド政権が崩壊しました。

その後も大きな混乱は伝えられておらず、ロイター通信は10日には中央銀行や民間の銀行が業務を再開する予定だと伝えていて、日常生活を取り戻す動きも広がっています。

こうした中、反政府勢力は9日、SNSで「シリア解放機構」のジャウラニ指導者がシリアのジャラリ首相と会談した様子を動画で投稿しました。

そのうえで、「新政府の立ち上げができしだい、その務めを開始する」として、新政権の樹立を急ぐ考えを示しました。

また、反政府勢力は9日、「徴兵期間中のすべての兵士に対して恩赦を出す。命は守られる」と発表し、政府軍の徴兵制度によって軍務についた兵士に寛容な姿勢も示しました。

内戦で疲弊した国民に対して融和的な対応を打ち出し、動揺を抑える狙いもあるとみられています。

ただ、過激派組織の「シリア解放機構」は国連などからテロ組織に指定されているだけに、どのような統治を目指すのか不透明な状況です。

混乱をもたらさずに平和的な政権移譲が進むかどうかが焦点です。

イスラエル軍 シリアで空爆継続

イスラエル軍のラジオ局が伝えたところによりますと、イスラエル軍は9日、8日に続いてシリア国内で空爆を続け、この24時間で100か所以上の標的を攻撃しました。

カッツ国防相は9日、崩壊したアサド政権が保有していた兵器が反政府勢力の手に渡らないようにするため、シリアにあるミサイルなど戦略的な兵器の破壊を進める方針を示していて、この方針に沿った空爆を行っているとみられています。

米大統領補佐官 イスラエル訪問へ

アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道官は、9日、サリバン大統領補佐官が今週、イスラエルを訪問することを明らかにしました。

シリアの最新情勢やイスラエルとイスラム組織ハマスとの間の停戦と人質の解放に向けた協議、レバノンとイランの情勢をめぐってイスラエル政府の高官などと意見を交わすとしています。

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