日米フィリピンの3カ国は初めて海洋協議を開催した。(左から)フィリピンのラザロ外務次官、日本外務省の中村南部アジア部長、米国家安全保障会議(NSC)のラップフーパー上級部長、米国務省のクリテンブリンク国務次官補(10日、都内)

日本と米国、フィリピンは10日、都内で初の3カ国の海洋協議を開いた。日米比の政府高官が出席し、中国が軍事力の増強を背景に海洋進出する南シナ海の情勢などを議論した。3カ国は「力による一方的な現状変更の試みに反対する」ことを改めて確認した。

協議は4月の日米比3カ国首脳会談で立ち上げる方針を申し合わせていた。フィリピンは2025年に第2回の協議を主催したいと提案し、日米が歓迎した。

日本は外務省の中村亮南部アジア部長、米国は国家安全保障会議(NSC)のラップフーパー上級部長(東アジア・オセアニア担当)、クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)、フィリピンはラザロ外務次官が出席した。

フィリピンは中国が有事の際の防衛ラインと位置づける「第1列島線」上にある。北方の台湾との間のバシー海峡は海上交通路(シーレーン)や軍事戦略上の要衝だ。南シナ海では中国海警局とフィリピンの船舶の衝突が頻発し、緊張が高まっている。

ラップフーパー氏は協議の冒頭で中国の動きを名指しで問題視した。「バイデン政権は南シナ海での中国の抑圧的で非合法な行動を懸念している」と語った。

ラザロ氏は「違法で強圧的、攻撃的な行動により、我々の合法的な海洋権益が無視されている状況だ」と訴えた。

中村氏は「困難で複雑な現状認識を3カ国で共有し、価値や原則を共有する国同士の協力を一層強化することが不可欠だ」と呼びかけた。

日比両国はともに米国と同盟関係にあり、中国の軍事的挑発を受けている。日比は安保協力を「準同盟」級に引き上げている。7月に部隊間の相互往来をしやすくする「円滑化協定(RAA)」を締結した。

米国はバイデン政権下でアジアの多国間の安保協力に前向きに取り込んだ。同盟国との2国間関係だけでなく、同盟国間の協力を促す格子状の体制を後押ししている。

政治・外交 最新情報はこちら

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。