10日夜、広島市の原爆資料館では被爆者などおよそ300人がプロジェクターを通して授賞式の様子を見守りました。

広島で被爆した箕牧智之代表委員などに賞状やメダルが手渡されると、参加者からは拍手が沸き起こりました。

その後、参加者たちは田中熙巳代表委員が行った受賞演説を真剣な表情で聞き、途中、「被爆者の平均年齢は85歳で、10年後には直接の体験者としての証言ができるのは数人になるかもしれない」として、次の世代の活躍に期待すると述べた際にはうなずきながら聞く被爆者の様子もみられました。

授賞式を見守った被爆者の1人で、長年証言活動を続けてきた梶矢文昭さん(85)は「演説を聞いて被爆者の証言を重く考えてもらえたと感じた。原爆の使用は三たび許してはならず、大変なことになるということを広島と長崎が世界に訴えていかないといけない。伝えたい思いは常にあるので、もうちょっと頑張らせてもらいたい」と話していました。

銅の折り鶴 贈った高校生も

渡航する前の日本被団協の箕牧智之代表委員に銅板で作った折り鶴を贈った広島市の高校生も、ノーベル平和賞の授賞式の様子を見守りました。

広島市中区の広島みらい創生高校の生徒2人は箕牧代表委員からノルウェー王室やノーベル平和委員会の委員長に贈るための銅板の折り鶴の制作を依頼され、教諭とともにおよそ1か月かけて完成させました。

制作した折り鶴は厚さ0.1ミリの銅板でつくられたもので、11月27日、5セット分を箕牧代表委員に手渡していました。

2人はノーベル平和賞の授賞式をテレビ中継で見守り、箕牧代表委員が賞状を受け取る場面などを真剣な表情で見つめていました。

白井翔希さんは「壇上の箕牧さんを見て、自分も携わることができてよかったと思いました。銅板の折り鶴を見た人に平和について考えてもらいたいです」と話していました。

くわ※元 陽さんは、「授賞式で箕牧さんは泣いていたようにも見えました。話すのも辛い経験を核兵器の悲惨さを伝えるために話してきた被爆者の方々はすごいと思います。今後も平和について考え、周りの人にも広めたいです」と話していました。

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