検察は前国防相を逮捕 大統領に「非常戒厳」進言か
複数の韓国メディアは、検察が10日夜遅く、キム・ヨンヒョン(金龍顕)前国防相を逮捕したと伝えました。
キム前国防相は、野党側から内乱をたくらんだ疑いなどで告発され、今月8日の未明に検察に出頭したあと拘束されていました。
その後、検察が請求した逮捕状の中では、ユン大統領などと共謀して暴動を起こした疑いがあると指摘していると報じられました。
前国防相の逮捕を受けて検察は声明で「地位の高い、低いを問わず厳正に捜査し、事態の全容を明らかにする」と強調しています。
前国防相 拘置所で自殺未遂 命に別状なし
11日開かれた韓国の国会の委員会で法務省の幹部が報告したところによりますと、ユン大統領に「非常戒厳」を進言したとされるキム前国防相が10日夜、拘置所内のトイレで衣服を使って自殺しようとしたところを職員が見つけたということです。
前国防相は保護室に収容され、命の別状はないということです。
キム前国防相は内乱などの疑いで身柄が拘束され10日夜遅く、検察に逮捕されたと伝えられていますが、自殺をはかったのはその前だったということです。
《捜査機関の動き》
警察 大統領府や警察庁を捜索
韓国の警察は「非常戒厳」をめぐり、大統領府や警察庁、それに国会警備隊などの捜索に着手したと発表しました。
大統領府の入り口の前では、11日午後、複数の韓国メディアが取材をしていました。入り口付近から大統領府の建物は見られず、捜索の様子をうかがい知ることはできませんでした。
また周辺では抗議活動なども行われず、車がいつもどおり出入りするなど、比較的落ち着いた状況でした。
警察 トップの長官を拘束
また警察は11日、警察庁のトップ、チョ・ジホ(趙志浩)長官を内乱の疑いで拘束したと発表しました。
首都ソウルの警察のトップもあわせて内乱の疑いで拘束したということです。
検察 陸軍の特殊戦司令部を捜索
また検察は11日、国会に部隊を突入させた陸軍の特殊戦司令部を捜索していると明らかにしました。
この司令部の当時の司令官は、ユン大統領から「早くドアを壊して入って、議場の中にいる議員を引っ張り出せ」などと電話で指示を受けたと10日、証言していました。
《国会の動き》
最大野党 再び弾劾を求める議案提出へ
最大野党「共に民主党」は11日、「非常戒厳」を宣言したユン・ソンニョル大統領の弾劾を求める議案を再び国会に提出し、今週14日の午後5時に採決を行う方針です。
前回、今月7日の採決ではほとんどの与党議員が投票に参加せず可決できなかったため、野党は、与党の議員に投票に参加し賛成するよう求めています。
与党 一部議員が弾劾採決に参加の意向
一方、与党「国民の力」の作業チームは、ユン大統領が来年2月に辞任して4月に大統領選挙を行う案と、来年3月に辞任して5月に大統領選挙を行う案の、2つの草案を示していて、与党内で検討が続けられています。
しかし、ユン大統領の弾劾を求める市民の声や前回の弾劾議案の採決に参加しなかった与党議員を批判する世論を受け、一部の与党議員は14日の採決に参加する意向をすでに示しています。
議案の可決には与党から少なくとも8人の賛成が必要なことから、与党議員の動向が焦点となっています。
《韓国 国外の反応》
北朝鮮機関紙が初めて言及 “韓国全土を阿鼻叫喚に”
11日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は韓国のユン・ソンニョル大統領が今月3日に「非常戒厳」を宣言したことについて、初めて伝えました。
記事では、国会に軍が投入されたものの「非常戒厳」がおよそ6時間で解除されたことや、ユン大統領の弾劾を求める議案が国会で廃案になったことなど経緯を詳しく伝えたうえで「独裁の銃剣を国民にちゅうちょなく突きつける衝撃的な事件で、韓国全土を阿鼻叫喚の状態に陥れた」としています。
また、弾劾を求める国民が各地で大規模な集会を開いていることなどを写真を交えて伝えるとともに、韓国メディアの報道を引用する形で「ユン大統領は破滅を免れなくなった」と強調しています。
林官房長官「特段かつ重大な関心を持ち事態を注視」
林官房長官は午前の記者会見で「韓国国内の一連の動きについて特段かつ重大な関心を持って事態を注視していく。韓国は国際社会のさまざまな課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国であり、現下の戦略環境のもと日韓関係の重要性は変わらない。韓国側とは引き続き緊密に意思疎通していく」と述べました。
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