【ニューヨーク=野一色遥花】11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比99ドル(0.2%)安の4万4148ドルで終えた。主力のハイテク株は堅調で、テック株中心のナスダック総合株価指数は初めて2万の大台を超えた。朝方発表の米物価指標が市場予想通りの結果になり、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ継続を期待した買いが相場を支えた。

ダウ平均採用銘柄では医療保険最大手ユナイテッドヘルス・グループや米保険大手トラベラーズが売られた。同日、米議会の超党派議員グループが、医療保険会社の薬局売却を求める法案を提出したとの米紙報道が出て、収益への影響を懸念した売りを誘った。

他方でテック大手の株価は総じて堅調だった。半導体大手エヌビディアは3%高になった。アマゾン・ドット・コムや、ダウ平均の採用銘柄ではないがグーグル親会社のアルファベットとメタも堅調でそれぞれ最高値をつけた。電気自動車(EV)大手のテスラも5%高となった。テック株の好調持続がナスダック指数を最高値に押し上げた。

ナスダック指数は今年(11日時点)の上昇率が33%に達した。ダウ平均の17%やS&P500種株価指数の28%よりも高く、テック株が米株相場をけん引する様子を映し出している。

この日は朝方発表の11月の米消費者物価指数(CPI)で前年同月比の上昇率が2.7%となり、市場の事前予想通りだった。

米金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウォッチ」では、17〜18日開催の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率が前日から10ポイントほど高まり、98%になった。市場が利下げ実施をほぼ完全に織り込む形になり、息の長い景気拡大を支えるとの期待が投資家の強気心理を支えている。

もっとも、米CPIの伸びは9月の2.4%から2カ月連続で加速しており、インフレの高止まりリスクも頭をもたげている。金利先物市場はFRBが次々回の2025年1月の会合で利下げを見送り、25年通年での利下げ回数も2〜3回にとどめるとの見方が優勢になっている。FOMC参加者が9月に示した「25年に4回」の中心シナリオよりも利下げ回数は少なくなる見通しだ。

米資産運用会社レーガン・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、スカイラー・ワインアンド氏は「(株価収益率=PERなどの)企業のバリュエーション(投資価値判断)は高まっているが、米国の消費者や企業の財務は強固だ。株高の持続力は強い」とみる。仮に利下げペースが鈍化しても、背景に米経済の強さの持続がある限りは大きな問題にはならないという見方がある。

ただ、金利の高止まりが続けば最終的には米景気を冷やすという懸念も拭えない。高金利と株高の併存の持続力には先行き不透明な面もある。

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