韓国の国会では14日、ユン・ソンニョル大統領の弾劾を求める議案が採決され、賛成票が国会議員の3分の2を超えて可決されました。
弾劾の議決書は、大統領府に届き、ユン大統領の職務が停止されてハン・ドクス(韓悳洙)首相が職務を代行することになりました。
その後、開かれた臨時閣議でハン首相は、国民に謝罪した上で、「国政の混乱を早く収束させ、国民の日常を取り戻す。危機克服に全力を尽くす」と強調しました。
今後は、憲法裁判所が180日以内に、弾劾が妥当かどうかを判断することになります。
憲法裁判所は16日、裁判官が集まって会議を開き、今後の日程を議論する予定で、手続きを本格化させるとみられます。
一方、ユン大統領は、「非常戒厳」の宣言をめぐり内乱などの疑いで野党側から告発され、大統領府への捜索令状には、容疑者はユン大統領と明記されていると伝えられていて、引き続き捜査が進むものとみられます。
韓国の通信社、連合ニュースは、職務が停止されたことで、大統領に対する捜査が国政運営に及ぼす影響は小さくなったと指摘し、捜査機関がユン大統領への直接の捜査に乗り出すのではないかという見通しを報じていて、捜査の行方にも関心が集まっています。
日本政府 “韓国の内政状況にかかわらず連携継続する必要”
日本政府内では、日韓関係の改善に精力的に取り組んできたユン大統領が、外交に関われなくなったことで、影響を懸念する声があがっています。
政府関係者の1人は、「今の情勢では、来年の日韓国交正常化60年も祝賀ムードにはならないかもしれない」と述べました。
政府は、今後、弾劾が妥当かを判断する憲法裁判所の審理の行方とともに韓国の与野党の動向などについて情報収集を続ける方針です。
中谷防衛大臣は14日、訪問先の沖縄県名護市で「韓国は国際社会のさまざまな課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国だ。地域の安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中で、日韓、日米韓の連携がますます重要になっていることに変わりはない」と述べました。
政府は、韓国の内政状況にかかわらず、日韓両国で連携を継続する必要があるとして、引き続き、事務レベルを中心に、日韓や日米韓で意思疎通を図っていくことにしています。
米国務長官「ハン首相と協力する準備できている」
アメリカのブリンケン国務長官は訪問先の中東ヨルダンで開いた記者会見で、韓国のユン・ソンニョル大統領の弾劾を求める議案が可決されたことについて質問に答えました。
ブリンケン長官は「韓国は民主主義の強じんさを示した。憲法に定められたプロセスが平和的に進められていく様子を目の当たりにした。われわれは大統領の職務を代行するハン首相と協力する準備ができている。韓国の国民を強く支持しているし、両国を結びつける鉄壁の同盟を強く支持している」と述べて、アメリカと韓国の関係は揺るがないと強調しました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。