【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月18日の動き)
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韓国情報機関“ロシア西部で戦闘の北朝鮮兵士 約100人死亡”
韓国の情報機関・国家情報院は19日、ウクライナが越境攻撃を行っているロシア西部のクルスク州に派遣された北朝鮮の部隊について国会の情報委員会の議員に報告しました。
報告を受けた議員によりますと、国家情報院は、クルスク州にはおよそ1万1000人の北朝鮮の兵士が配置されており、その一部が今月から戦闘に投入され、少なくともおよそ100人が死亡し、1000人が負傷したとの見方を明らかにしたということです。
そのうえで、北朝鮮の部隊が突撃する役割を担っていることや、無人機による攻撃に対応する能力が不足していることなどから「交戦した回数が少ないにもかかわらず、多数の死傷者が出た」と分析しました。
また、部隊が戦闘に投入される前にも北朝鮮軍の複数の幹部がウクライナによる攻撃や訓練中の事故で死傷したとしています。
さらに、国家情報院は、北朝鮮がロシアへ追加の部隊を派遣するか注視していると説明しました。
国連安保理の緊急会合 北朝鮮のロシア派兵や軍事協力を非難
18日に開かれた国連安保理の緊急会合で、ウクライナのキスリツァ国連大使は、北朝鮮の兵士がウクライナ軍の陣地への攻撃に投入されているだけでなく、北朝鮮から100発以上の弾道ミサイルがロシアに送られ、エネルギー関連施設などへの攻撃に使われていると非難しました。
また、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「ロシアが北朝鮮の支援に頼れば頼るほど、北朝鮮はより多くの見返りを得ることになる」と述べて軍事協力をやめるよう求め、日本の山崎国連大使も「不法な軍事協力であり、座視するわけにはいかない」などと訴えました。
これに対し、ロシアと北朝鮮の国連大使は、両国の協力は「国際法にのっとっている」とか「国際平和に貢献するものだ」などと主張するとともに、西側諸国によるウクライナへの軍事支援を批判しました。
一方、韓国のファン・ジュングク国連大使は「北朝鮮はアメリカの大統領が交代する時期に挑発行為を繰り返してきた歴史がある。注目を集めて新政権との直接交渉の舞台を整えるのが目的だ」と述べ、弾道ミサイルの発射や7度目となる核実験を行う可能性があるとして各国に警戒を呼びかけました。
ロシア軍参謀総長 “核兵器を含むあらゆる手段取りうる”主張
ロシアのプーチン大統領は先月、核兵器の使用基準を定めたいわゆる「核ドクトリン」を改訂し、使用基準の引き下げを承認しました。
これについてロシア軍のゲラシモフ参謀総長は18日、国防省でモスクワ駐在の外国の武官らを前に「西側ではロシアが核の威嚇を強化しているなどと非難するキャンペーンが行われている」と主張しました。
そのうえで、核兵器の使用について「国際的な義務には縛られない。侵略者を抑止し、潜在的な敵からの脅威をなくす必要性によって決定される」と述べ、国の安全保障のためには核兵器を含むあらゆる手段を取りうると強調しました。
また、ゲラシモフ参謀総長は、欧米との対立が深まる中、中国やインド、それに北朝鮮との協力関係を引き続き強化していくと述べました。
一方、ロシア外務省のリャプコフ次官は「ロシアとアメリカの関係を正常に戻す必要性についてどのような提案ももちろん検討する」と述べ、米ロ関係を改善するため、来月発足するトランプ政権と対話の用意があるとの姿勢を示しました。
ロシア極東 学校で北朝鮮の「チュチェ思想」を学ぶ課外活動
ロシア極東ハバロフスクにある学校では、北朝鮮の建国の父とされるキム・イルソン(金日成)主席が唱え、国家の指導理念とされた「チュチェ思想」を学ぶ課外活動のクラブがことし10月に設立されました。
クラブはこの学校の歴史教師のクシニレンコさんが、ハバロフスク市内にある北朝鮮の在外公館の支援を受けて立ち上げ、11歳から17歳までの生徒25人が所属しています。
18日は「チュチェ思想」の歴史や、ウクライナ侵攻後、ロシアと欧米諸国との対立が深まる一方で、ロシアと北朝鮮のつながりがいっそう大事になっていることなどを議論していました。
教室の壁にはプーチン大統領とともに北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記の顔写真が掲げられていたほか、ことし6月に両首脳が会談したことを報じる北朝鮮の新聞などの展示も行われていました。
参加していた生徒は「政治や経済について学ぶのはとても楽しいです。北朝鮮はロシアの同盟国のようなものですし、私たちの隣国なので、ぜひ学びたいと思いました」と話していました。
クシニレンコさんは「ロシアと北朝鮮が結束し同盟のような関係をさらに強化すれば、西側諸国に対抗していくことができる」と話し、学校現場でも北朝鮮との関係を重視するプーチン政権の方針が浸透していることを伺わせていました。
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