◆夜のノック「もうおびえずに済む」
恐怖政治を支えた刑務所から拷問や虐殺の記録が流れ始めた。外貨獲得のための合成麻薬の製造工場も摘発された。独裁政権の暗部が照らされつつある。シリア首都ダマスカスの軍基地にあったアサド前大統領の写真=14日(ゲッティ=共同)
政権崩壊翌日、首都ダマスカスで暮らす友人の元教師(66)は交流サイト(SNS)に「もう夜にドアをたたかれてもおびえずにすむ」と記した。 直接やりとりすると「周囲の住民はまだ口数が少ない。半信半疑なのだ。あまりにあっけなく政権が倒れたので」と伝えてきた。◆父子2代の支配、あっという間に…
アサド政権の支配は父子2代、半世紀余に及ぶ。現在、ロシアに亡命中の前大統領のバッシャール氏は2000年に世襲した。 内戦の引き金は民主化運動「アラブの春」だった。過激派「イスラム国(IS)」の猛威で一時は危機に陥ったが、ロシアやイランの支援で延命し、昨年はアラブ連盟にも復帰した。 だが、情勢は突然、反転した。トルコに支援された反政府派が戦闘を再開。瞬く間に首都を陥落させた。◆「ロシアが支援断る」報道も
トランプ米次期大統領は「エルドアン(トルコ大統領)はシリアを非友好的に占領した」と評した。 前政権はなぜ、あっけなく崩れたのか。支援してきたロシアとイランの疲弊が指摘されている。ロシアはウクライナ侵攻、イランはイスラエルとの交戦で余力を失い、アサド前政権を見限ったという見立てだ。シリア北西部のヘメイミーム空軍基地で演説するロシアのプーチン大統領=2017年12月(ロシア大統領府提供・タス=共同)
ロシアは戦闘再燃直後、前政権軍を爆撃支援していた。ただ、ほぼ同じ時期にアサド前大統領の支援要請を断ったという報道もあり、経緯は不鮮明だ。◆「政権軍はダメ」イランも見限る
イランはどうか。同国にとって、シリアは特別な国だ。国教のイスラム教シーア派の聖地があり、イラン・イラク戦争では父のアサド政権が支援してくれたという「恩義」もある。 イランが前政権支援を諦めたのは政権崩壊直前だ。前政権の応援で民兵を派遣していたイラクから「シリアの政権軍はダメだ」と伝えられ、撤退を決めた。大使館に残された未処理の書類があわてぶりを物語る。 主な原因は十数万の兵力を抱えた前政権軍の崩壊にあるように見える。制裁による経済状態の悪化、内戦長期化による士気の低下などが理由とされている。◆首都を守らず消えた「精鋭部隊」
ただ、それだけでは説明がつかない部分が残る。 アサド一族が属する少数宗派アラウィ派主体で、特に厚遇されていた第4師団や第25特別任務師団といった精鋭部隊の存在だ。こうした部隊は首都の防衛に回ると予測されていた。11日、シリア首都ダマスカスで、亡命したアサド前大統領の父、故ハフェズ・アサド元大統領の像のそばに立つ反体制派戦闘員(AP=共同)
ところが、こうした部隊も中部ハマで目撃されたのを最後に姿を消した。前政権軍の他の部隊と交戦したといううわさもあるが、真相は分からない。第4師団を率いていた前大統領の弟はロシアへ亡命した。 ドイツに滞在する友人のシリア人記者(64)は「軍内部に戦闘を放棄させた有力者がいたということでは」と推測する。いずれにせよ、前大統領は最大の暴力装置を失っていた。◆「政権移譲で協力があったのでは」
首都を「無血開城」した反政府派は暫定政権を立ち上げた。旧政府の警察も協力し、混乱はほぼない。 この穏やかな状況について、前述の元教師は「政権崩壊前に旧政府関係者への報復禁止と政権移譲への協力で約束があったとしか思えない」と勘繰る。ここでも黒幕説が浮上する。...残り 1571/3113 文字
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