【NQNニューヨーク=稲場三奈】3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比450ドル02セント(1.17%)高の3万8675ドル68セントで終えた。同日発表の4月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回った。賃金上昇のペースも鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始が先送りになるとの懸念が後退。ダウ平均の上げ幅は500ドルを超える場面があった。
4月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比で17万5000人増えた。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(24万人増)を下回った。平均時給は前月比の上昇率が0.2%と市場予想(0.3%)以下となり、失業率は前月と市場予想に比べ0.1ポイント高い3.9%だった。
市場では、米労働市場の過熱感が薄れる方向にあるとの見方が広がった。「労働市場は引き続き底堅いものの、FRBにとっては(物価上昇率が)インフレ目標の2%に向かっているとの自信を深めるものだった」(オックスフォード・エコノミクス)との受け止めがあった。
賃金インフレの長期化でFRBの利下げ転換まで時間がかかるとの警戒が薄れ、米債券市場では長期金利が低下(債券価格は上昇)。4.5%前後と、前日終値(4.58%)を下回る水準で推移した。株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いも株式相場を支えた。
ダウ平均の構成銘柄では、アムジェンが大幅高。前日比12%高で終え、指数を押し上げた。前日夕に2024年1〜3月期決算の発表と併せて、肥満症治療薬の開発が順調に進んでいると明らかにした。収益貢献への期待から、買いが広がった。
アップルは6%高だった。前日発表の24年1〜3月期決算では減収減益となったものの、売上高と1株利益が市場予想以上だった。増配と自社株買い枠の追加も発表し、好感した買いが入った。
もっとも、インフレ圧力は根強い。3日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数は49.4と、好不況の境目とされる50を下回り、市場予想(52.0)以下だった。個別項目では「価格」の伸びが加速した。市場では「高金利下でも、まだある程度のインフレの兆しがみられることが上値を抑えた」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声も聞かれた。
その他の個別銘柄では、マイクロソフトやホーム・デポ、インテルなどが高かった。半面、マクドナルドやJPモルガン・チェース、シェブロンは売られた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に続伸した。前日比315.370ポイント(1.99%)高の1万6156.328で終えた。エヌビディアやメタプラットフォームズの上げが目立った。
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