コロナ禍で結婚式や成人式などが軒並み中止となり、大きな打撃を受けた着物業界。日本文化を気軽に楽しんでもらおうと、高知市の呉服店が新たな挑戦を始めた。

“和の文化発信基地”がオープン

外国人観光客が街にあふれ、高知市の観光名所「はりまや橋」は、まるで映画のロケ地のようだ。インド、インドネシア、フィリピンから来たという男性3人組に話を聞くと、「今から高知城に行く」と答えてくれた。

観光名所「はりまや橋」から手を振る外国人観光客
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2024年度は47隻のクルーズ船が寄港予定でインバウンド効果が期待される中、外国人観光客の心をくすぐる新店が4月、高知市中心部から徒歩5分のところにオープンした。

ドアや柱に木が使われていて落ち着いた雰囲気

「aiiro」店主・石原文子さん:
こちらは、和の文化発信基地「aiiro(あいいろ)」という名前になっています。

「aiiro」では、男性は3種類、女性は15種類の中から好きな着物を選びレンタルができる。デニムの着物もあるということで早速、着付けをしてもらった。

高知さんさんテレビ・川辺世里奈アナウンサー:
初めてデニムの着物を着たのですが、とっても軽いです。そして生地が柔らかいので動きやすいです。

着物を着て高知の街を散策した川辺アナウンサーは、「普段よりもワクワクします。着物と橋、和の雰囲気の中で写真を撮りたくなります」と楽しげな様子を見せた。

新事業の裏にコロナの影響

高知市にある創業53年の呉服店「特選呉服いしはら」が手掛けた店舗の「aiiro」では、着物を着て“茶の湯体験”もできる。なぜ、着物レンタル店で茶道なのだろうか?新しい事業を始めた理由を聞いた。

「aiiro」店主・石原文子さん:
普通の呉服店だったのですが、着物を着て遊び、和文化を体験できる場所をつくりたいなと思っておりました。もうすごい、挑戦です。コロナで(皆さんが)お出かけする場所がなくなり、結婚式もない、パーティーもない、お茶会もない。売り上げが本当に半減、半分まで落ち込んだ。

感染者が減り、現在の売り上げはコロナ禍前の8割まで回復したが、“気軽に着物を着てほしい”とレンタルを始めたという。

「和文化体験は非日常」

この日は、アメリカから訪れた夫妻が「aiiro」に来店した。

着付けを終えると、妻のジャッキーさんは「ファッショナブルでとても快適です」と大満足。ジャッキーさんの着物姿に、夫のアランさんも「すてき!素晴らしい!」と大絶賛した。

着物で街を散策した2人は、「着物はユニークで他の文化とは違います。日本・高知に来るのは非日常を体験したいからで、和文化体験はまさにそんな経験です。素晴らしい時間を過ごしています」と高知の街を楽しんでいた。

老舗料亭とタッグ 体験メニュー考案

オープンから1週間。aiiroは高知市の老舗料亭「濱長」とタッグを組み、着物で楽しめるプランを考案していた。

「濱長」の女将:
お着物とか浴衣で、テラスでビールとか飲んでもらってもすごくいいと思う。(客が)定着していったら、海外の人へのツアーができたらいいですね。

「aiiro」店主・石原文子さん:
作りたいです。そういうプランを。

この日は体験メニューを考えるため、外国人観光客と話す機会が多い通訳や添乗員を招き、お座敷遊びを体験してもらった。高知のお座敷遊びでは、こまの先が向いた人は、日本酒を飲み切るまで杯を置くことができない。

添乗員の女性:
お着物を着て、高知ならではの遊びができるのは、外国の方に受けがいいというか、ものすごく喜んでもらえると思います。

通訳の男性:
英訳をしようかなと思ってたんですけど、このままで雰囲気は(外国人にも)伝わると思う。

店主が目指す“和の文化発信基地”

和の文化が好きな人が国籍や年代を問わず交流し、その奥深さを知るきっかけとなる場所。それが石原さんが目指す「和の文化発信基地」なのだ。

「aiiro」店主・石原文子さん:
高知の街に着物の方がたくさんあふれて、着物でそぞろ歩きしたり、高知城をバックに写真を撮っていただいたり、高知を元気にしていけたらいいなと思っております。

古き良き日本文化を時代に合った方法で発信し、コロナ禍からの巻き返しを図る。

(高知さんさんテレビ)

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