【ロサンゼルス=竹内弘文、秋田咲】国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は6日の国際会議で「円相場の下落は本当に劇的だった」と述べ、日本政府・日銀による為替介入とみられる対応に理解を示した。円安・ドル高進行の背景にある米経済や金融政策の先行きについても米金融業界トップが議論した。

ロサンゼルスで開催中のミルケン研究所グローバル・カンファレンスで語った。円相場は4月29日に一時、1ドル=160円台まで円安・ドル高が進行。その直後、為替介入とみられる大規模な円買い・ドル売りがあった。5月2日にも再び介入とみられる大規模な円買いが入った。介入への警戒から、6日のニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル154円近辺で推移している。

ゲオルギエバ氏は「日本は原則的に柔軟な為替レートにコミット(確約)している。もし日本が何かをするとすれば、金融安定に対するリスクがあると判断した場合だ」と語り、介入とみられる今回の対応が当局の裁量の範囲内にあることを示唆した。

「ドル高の背景に客観的な理由があることを認識しなければならない。米国経済が好調で米金利が高いという点だ」とゲオルギエバ氏は述べた。別セッションでも米国経済や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は注目テーマとなった。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「現状の金融政策は適切であり、より多くのデータを集める時期だ」と述べ、利下げ実施を急がない姿勢を示した。利下げ実施に向けた確信を得るためには「データの全体像を見ることが重要だ」とも語り、単独の経済指標だけで判断しないと説明した。

米大手ヘッジファンド、シタデルのケン・グリフィン最高経営責任者(CEO)は「FRBはホワイトハウスや議会から独立して行動し、物価安定と雇用の最大化に向けて最善を尽くしている」と述べた。政治的と見られかねない米大統領選前の利下げは難しく「もし9月に利下げがないなら12月の可能性が高い」と語った。

米景気は堅調さを保つものの、腰折れリスクも想定すべきだという指摘もあった。米銀大手シティグループのジェーン・フレーザーCEOは「基本シナリオではない」と断りつつ「深刻な景気後退が起きたり、インフレ加速で経済成長が鈍化したりする不愉快なシナリオもある」と述べた。特にインフレ加速と景気鈍化が共存した場合には「FRBはジレンマに陥る」と指摘していた。

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