豊臣秀吉の朝鮮出兵で朝鮮から連れてこられた陶工を始祖に、鹿児島県日置市で400年以上受け継がれてきた薩摩焼窯元の沈壽官(ちんじゅかん)さんらを描くドキュメンタリー映画「ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―」(松倉大夏(だいか)監督、1時間57分)が、18日から東京都中野区など各地で公開される。

 主人公は十五代沈壽官(本名・大迫一輝(おおさこかずてる))さん(64)。家業を継ぐためイタリアや韓国で修業。司馬遼太郎の小説「故郷忘(ぼう)じがたく候(そうろう)」の主人公となった父(大迫恵吉(けいきち)さん=2019年死去)から1999年、沈壽官の名を引き継いだ。

 映画を企画した李鳳宇(リボンウ)さん(63)は韓国映画を日本に紹介し、韓流ブームのきっかけをつくった。「朝鮮半島から渡来した文化が年月をかけて日本にしみ込む長い歴史を体現する沈壽官さんを描くことを通じて、日韓関係や在日コリアンの将来について考えたい」との思いがあるという。

 映画では、韓国で沈さんが修業したキムチ甕(かめ)の窯元や、朝鮮出兵で日本の武将が攻撃した韓国の戦跡を取材。福岡県の上野(あがの)焼や山口県の萩焼など、朝鮮から渡来した他の窯元も紹介する。

 18日から東京都中野区の「ポレポレ東中野」、25日から目黒区の都写真美術館など各地で公開される。詳しくは公式サイト(https://www.sumomo-inc.com/chawanya)。

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