【ロンドン=大西康平】英イングランド銀行(BOE)は9日、6会合連続で政策金利を据え置くと発表した。ベイリー総裁は英国の消費者物価指数の伸び率が「今後数カ月で目標の2%近くまで下落するだろう」とし、今後の利下げの可能性を示唆した。

8日まで開いた金融政策委員会で、政策金利を2008年以来の高水準となる5.25%に維持すると決めた。投票権を持つ9人のうち、ベイリー総裁を含む7人が据え置きに賛成した。0.25%の利下げが必要とした反対は、前会合の1人から2人に増えた。

ベイリー総裁は「インフレが低水準にとどまる証拠がより必要だ」として、この条件が整えば利下げを開始できるとの見方を示した。

さらに「物事は正しい方向に動いている」とした前会合のコメントを繰り返したうえで、「私は(状況を)楽観的に見ている」という表現を新たに付け加えた。6月や8月の利下げ開始を織り込む市場予想が強まりそうだ。

中期的なインフレ抑制にも自信を示した。四半期ごとの金融政策報告書では、26年の消費者物価指数の伸び率の見通しを1.5%と、前回2月時点の2%から引き下げた。すでに3月には3.2%と2年半ぶりの低水準となっていた。

声明文では、金融政策の先行きについて前会合の表現をそのまま残した。「十分に長い時間引き締めを維持する必要がある」や「現在の政策金利の水準をいつまで維持すべきか検討を続ける」とした。

欧州の中央銀行では利下げが広がる。スウェーデン中銀は8日に8年ぶり、スイス国立銀行は3月に9年ぶりの利下げに踏み切った。欧州中央銀行(ECB)も6月の利下げを視野に入れている。

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