【ソウル=上野実輝彦】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は9日、就任2年となるのに合わせ、1年9カ月ぶりの記者会見を開いた。総選挙大敗の要因とされた意思疎通不足の改善を強調する狙いとみられる。対日関係に関しては、未来志向での協力を継続する考えを重ねて示した。

◆総選挙の大敗「国民との意思疎通が足りなかった」

韓国の尹錫悦大統領(資料写真)

 尹氏は会見冒頭で、与党の過半数割れが続く国会を念頭に「私の方から国会との意思疎通や協力を積極的に増やす」と表明。野党側に「政府・与党と野党が政争をやめ、民生のために働くことが国民の願いだ」と協力を呼びかけた。  質疑では、総選挙の敗因として「国民との意思疎通が足りなかった」と認め、記者会見などの機会を設けていく意向を示した。

◆岸田首相について「互いに信頼し、両国関係を発展」

 日韓関係では「歴史などが障害になるかもしれないが、耐えるべきことは耐えながら歩んでいかねばならない」との認識を示し、岸田文雄首相との関係についても「互いに信頼し、両国関係を発展させる姿勢を十分持っている」と語った。  トランプ米前大統領が再任された場合の備えに関して問われ「韓米の強固な同盟関係は変わらないと確信している」と答えた。

◆ブランド品疑惑「妻の賢明でない行動」

 妻の金建希(キムゴンヒ)氏が高級ブランド品を受け取った疑惑に関しては「妻の賢明でない行動により国民に心配をかけたことを謝罪する」と改めて述べた。一方で、金氏が株価操作事件にかかわった疑惑を捜査するため、政府から独立した特別検察官の設置を野党が求めていることに対しては、反対する考えを示した。  会見は約1時間40分行われ、司会者が質疑を打ち切ろうとした際に尹氏が追加質問を促す場面もあった。 

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