“イスラエル ラファでの作戦拡大決定” 多くの住民が避難

イスラエルとハマスはガザ地区での戦闘休止と人質解放に向け仲介国のエジプトで交渉を続けていましたが、大きな進展が見られないまま、双方の交渉団はエジプトを離れました。

こうした中、イスラエル軍は100万人以上の住民が身を寄せている南部ラファでの作戦を続けていて10日、ラファの東側でハマスを対象にした掃討作戦を行い数十人を殺害したと主張しました。

さらに地元メディアなどは、イスラエルの戦時内閣がラファでの作戦の拡大を決めたと報じました。

ラファではこの日、多くの人たちが車やロバの荷車、それに車いすにまで荷物をいっぱいに載せ、避難していました。

また、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、市内の病院に入院している患者も避難を強いられているほか、イスラエル軍が掌握しているエジプトとの境界の検問所から今月5日以降、支援物資の搬入が許可されず、食料や医薬品の不足が深刻になっていると伝えています。

アメリカのバイデン大統領がラファへの大規模な地上作戦を行えば砲弾などの武器を供与しないと警告する中でも、イスラエル側は強硬姿勢を崩しておらず、人道危機の深まりが懸念されています。

【衛星画像】イスラエル軍攻撃でラファの建物200棟超が損壊

国連総会でパレスチナの国連加盟を支持する決議案の採決が日本時間の11日午前0時半ごろ行われ、
▽日本を含む143か国が賛成、
▽イギリスなど25か国が棄権、
▽反対はアメリカやイスラエルなど9か国にとどまり、
決議は圧倒的多数の賛成で採択されました。

国連への加盟には安全保障理事会による勧告決議が必要であることから、現時点でパレスチナの加盟が実現する見通しは立っていませんが、総会で140を超える国が加盟を支持したことで、イスラエルとそれを擁護するアメリカの孤立が際立った形です。

ガザ南部ラファ 地上作戦への不安から多くの住民が避難

ガザ地区南部ラファでは、イスラエル軍が大規模な地上作戦を行うのではないかとの不安から、多くの住民が避難を始めています。

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが10日、ラファ市内で撮影した映像には車やロバの荷車に家財道具を載せて避難をする人たちの様子が写っています。

なかには車いすに荷物を載せて徒歩で避難している人の姿もありました。

現地ではイスラエル軍から退避を通告されたラファ東部の住民だけでなく、市の中心部の住民のなかにも避難を始める動きが出ていて、多くの人がラファの西部やラファよりも北の地域に向かっているということです。

避難を始めた男性は「きょうも午前1時から砲撃などの音がやみませんでした。住民たちはラファへの侵攻を恐れて、すでに避難したり避難する準備をしたりしています」と話していました。

イスラエル軍がラファでの限定的な地上作戦や空爆を続けるなか、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は10日、これまでに推計で11万人がラファから避難したと発表していて、さらに多くの人が避難を強いられることが懸念されています。

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