コロナ禍も終わり、円安の影響もあるのか、訪日外国人の数は24年3月、初めて月300万人を超え、数多くの外国からの観光客が日本を楽しんでいる。

中でも国別に見ると最も多いのはお隣の国・韓国。その国に生まれ育ち、2023年に日本に帰化したシンシアリー氏は、日本を嫌いといいながらも訪れる韓国のZ世代には「選択的」という特徴があると分析する。

ネット時代を生きる若者がもつ価値観について書いたリー氏の著書「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」から一部抜粋・再編集して紹介する。

「2030」は都合がよすぎる?

「2030」と呼ばれる、韓国の現在20代~30代の人たちが持っている価値観のひとつは、「選択的」ということです。

この項目は、他の資料にはさまざまな形で表現されていますが、私は「選択的」としました。

なにが選択的なのか?あえて「多様性」や「個人主義」と項目をわける必要があるのか。私は、十二分にその価値があると思っています。

選択的という言葉がどういう意味かと言うと、よく言えば「それはそれ、これはこれ」で、悪く言えば「都合がよすぎる(虫がよすぎる)」となります。

韓国の「2030」は「選択的」という価値観を持つという(画像:イメージ)
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前者なら、私は別に問題にしません。
しかし、後者の場合、すなわちある概念、通念、または雰囲気や流れ、そんなものに賛同または反対するとしつつも、自分の都合に合わせて、それとは矛盾する行動をするという意味なら話は別です。

「日本嫌い」でも日本旅行を楽しむ若者

この選択的であることが、もっともよく現れるのが日本旅行です。

日本製品不買運動などの社会的な雰囲気が強くなっている場合は別として、通常、韓国の若者たちは「日本嫌い」と言いながら日本旅行に行ってお金を使います。

「私は反日思想に同意する」としつつも、「でも、私が日本に行って遊んでくるのは、それは別」ということです。

この「それとは別」が、本書で言う「選択的」、すなわち、たとえ矛盾していても、自分が取りたい部分だけを取ろうとする2030の特徴です。

世界中で続く日本旅行ブーム

いまは日本在住の日本人になりましたが、私も日本旅行に情熱(と旅費)を燃やしまくった一人です。秋葉原でフィギュアも結構買いましたが、特にボックスが大きくて苦労しました。

よく家まで持ち帰ったものだと、いま思えば自分でも驚きです。
現在は、私はバスツアーにハマっています。まさに「沼にハマった」レベルで、1か月に1回以上は利用しています。

さすがにバスだから「なんで『東京発北海道めぐり日帰りツアー』がないのか」とは言えませんが、多くの「知らなかった日本」が見えてきて、とても満足しています。

著者も日本旅行に情熱を燃やしたという(画像:イメージ)

人的・物的インフラ(旅行というのは実にさまざまなインフラが調和しないと楽しくなれません)が素晴らしいのは言うまでもありませんが、「あまり積極的に行きたいと思わなかったところ」にも足を運べるのがバスツアーの嬉しいところです。

実際に訪れてみると、来てよかった、見てよかった、自分で感じてよかったと思うところばかりですーーと、話がズレましたが、それはともかくとして世界中で日本ファンが増え、オーバーツーリズムと言われるほど日本旅行のブームが続いています。

ダントツ人気の旅行先は日本

韓国もそれは同じで、距離的に近いこともあり、連休や週末だけの短い日程でも、日本旅行を楽しむ人が溢れています。

本書の発売前、もっとも旅行シーズンとされる2024年2月の旧正月「ソル」連休では、韓国の海外旅行先は、「東南アジア」とひとくくりにされている項目を除けば、国家としてはダントツで日本が1番人気でした。

福島原発処理水の問題などで、中国からの訪日客が減少しましたが(政治的な理由で訪韓観光客も予想よりずっと少なかったですが)、韓国でも同じ案件がフェイク・ニュース含めて大きな話題になったにもかかわらず、中国とは異なる結果になりました。

韓国でも日本旅行を楽しむ人が溢れているという(画像:イメージ)

この件を扱う韓国メディアでは、「円安だから」「連休が短いから」という点が強調され、ほとんどの記事の題に〝安っ〟と書かれていました。

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