韓国の趙兌烈(チョテヨル)外相が13日に中国を訪れ、王毅(ワンイー)共産党政治局員兼外相と会談した。中韓関係や緊張が高まる朝鮮半島情勢などを議論し、5月下旬に韓国で開かれる見込みの日中韓3カ国による首脳会談(サミット)に向けた調整も行ったとみられる。

 韓国側の発表によると、中韓関係の発展に向けて趙氏は「難関があっても注意深く管理し、協力のモメンタム(勢い)を継続していかなければならない」と主張した。王氏の訪韓も要請したという。

 また、両氏は北朝鮮の問題についても話し合った。趙氏は北朝鮮が進める核・ミサイル開発やロシアとの軍事協力に懸念を示し、朝鮮半島の平和・安定と北朝鮮の非核化に向けて中国の「建設的な役割」を改めて求めた。

 韓国は2年前に尹錫悦(ユンソンニョル)政権が発足して以来、米国や日本と安全保障などで協力を強化してきた。一方で経済的な関係が深く、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって「建設的な役割」を求めてきた中国との関係も、慎重な配慮を要する立場にある。

 一方、中国国営中央テレビによると、王氏は「中韓関係の健全かつ安定した発展のため力を合わせることを望む」と述べた。そのうえで、韓国側が「一つの中国」原則を守り、台湾に関する問題を適切かつ慎重に処理し、2国間関係の政治的基礎を固めることへの期待を表明した。中国が「独立派」として警戒する民進党の頼清徳(ライチントー)副総統が20日、新総統に就任した直後に行われるとみられる3カ国の首脳会談を前にクギを刺した形だ。

 また、中国側は4月、共産党序列3位の趙楽際(チャオローチー)・全国人民代表大会常務委員長が最高指導部メンバーとして約5年ぶりに北朝鮮を訪問し、中朝の関係強化で一致した。北朝鮮に影響力を持つが、米国寄りの姿勢を強めている韓国の尹政権への不満は根強い。(北京=井上亮、ソウル=稲田清英)

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