5月と6月、2大会が開催されるアーバンスポーツの予選シリーズは、若者向けスポーツの導入に力を入れているIOC=国際オリンピック委員会がパリオリンピックを前に初めて開きます。

東京オリンピックから採用されたスケートボード、スポーツクライミング、自転車のBMXフリースタイルに加え、パリ大会で採用されるブレイキンの出場権をかけた大会が1つの会場で行われ、450人余りの選手が参加する予定です。

このうちスケートボードは、男女のストリートなどで日本選手のハイレベルな代表争いが続いていて、この予選シリーズ2大会の結果がオリンピック出場のカギを握ります。

そのほかの3つの競技と種目では予選シリーズの2大会のみの成績で出場権が争われることになっていて、オリンピックの切符をかけた“最終予選”の位置づけとなる初めての大会で日本選手がオリンピックの切符をつかめるか注目されます。

大会は、中国・上海での大会が16日から19日まで、ハンガリー・ブダペストでの大会が6月20日から23日まで開催されます。

スケートボード 日本勢どうしの激しい争い

最も注目されるのが東京大会で4種目のうち3種目で日本勢が金メダルを獲得した新たな“お家芸”とも呼べるスケートボードです。

スケートボードは、おととしから選考対象の国際大会が行われ、そこで得られるポイントに基づく世界ランキングで、パリオリンピック代表が決まります。

残す大会は得られるポイントが多い予選シリーズの2戦のみで、この予選シリーズの結果がカギを握ります。

男子ストリート 東京五輪代表勢に注目

最大3人の出場権をめぐり最もしれつな争いとなっているのが男女のストリートです。

男子は世界ランキング10位までに日本選手が5人が入っています。

20歳の根附海龍選手や14歳の小野寺吟雲選手など若手スケーターが名を連ねる中、世界1位に立つのは東京大会に出場した白井空良選手です。

予選敗退に終わった東京大会をバネに「ソラグラインド」や「シライケーン」といった独創的なオリジナル技で2大会連続出場をねらいます。

一方、初代金メダリストの堀米雄斗選手は、ここまでの選考大会で代表圏外の日本勢4番手と出遅れています。

オリジナルの大技「ユウトルネード」など、ベストトリックでは世界トップレベルの技を持つだけに、前半の45秒の「ラン」をいかにミスなくこなせるかが、逆転での代表内定へのポイントとなりそうです。

女子ストリートは10代“四強”の戦い

一方、女子のストリートも世界10位までに日本勢が6人の混戦で中でも10代の4人がしのぎを削っています。

▼世界1位が、東京大会の金メダリスト西矢椛選手。

▼3位が、去年の世界選手権金メダルの織田夢海選手。

▼5位には、選考大会で2勝の赤間凛音選手。

▼そして6位が、東京大会の銅メダリスト、中山楓奈選手です。

それぞれ得意な技やスタイルが異なるスケーターで、勝敗はコースの特徴などにも左右されそうです。

西矢選手から中山選手までのポイント差はわずかで予選シリーズの結果で大きく順位が変動する可能性があります。

ブレイキン 世界トップレベルの女子2人が内定なるか

予選シリーズの2大会の結果で出場権が決まるブレイキン。

男子はすでにダンサーネームShigekixの、半井重幸選手が内定していて、残る最大男子1人、女子2人の出場権をかけた争いとなります。

中でも女子は世界トップレベルの2人が初めてのオリンピックの切符を目指します。

AMI、湯浅亜実選手は、日本の女子ブレイキン界を引っ張る25歳で、流れるようなダンスが持ち味で、すべての要素を高いレベルでこなせるオールラウンダーです。

2019年と2022年の世界選手権で優勝するなど抜群の実績を誇り、今大会も優勝争いの中心になると予想されます。

そして、AYUMI、福島あゆみ選手も注目の1人です。

長く世界の舞台で活躍し、多彩なオリジナル技が持ち味で2021年の世界選手権を制しました。

40歳を迎えた今も世界トップレベルの実力を誇ります。

ブレイキンの初めてのオリンピック出場をかけた争いからも目が離せません。

注目選手もパリ五輪の切符ねらう

このほかスケートボードの女子パークでは、東京オリンピックの金メダリストの四十住さくら選手、銀メダリストの開心那選手、そして16歳の新星、草木ひなの選手を加えた3人が日本勢の出場権争いの中心となりそうです。

スポーツクライミングの女子ボルダー&リードでは、日本に残された出場権は最大一つで、東京オリンピック銀メダリストの野中生萌選手や、伊藤ふたば選手などが、出場権獲得を目指します。

さらに、BMXフリースタイルでは、2022年の世界選手権で日本選手として初めて優勝したエースの中村輪夢選手が、持ち味の滞空時間の長いジャンプを生かして、2大会連続のオリンピック出場を視野に入れています。

新たな大会の形に

オリンピックの前哨戦として初めて開かれるこの大会。

みずからの表現を追求し、勝ち負けを超えて互いをたたえ合うという、アーバンスポーツに共通する選手たちの姿も見どころの一つです。

開幕までまもなく2か月となるパリオリンピック本番を占う上でも、この大会で見せる選手たちのパフォーマンスに注目です。

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