心不全患者のうち前屈姿勢をしばらく取った時に息切れする人は死亡リスクが高いと分かった=順天堂大学の中出泰輔大学院生提供

順天堂大学の中出泰輔大学院生や末永祐哉准教授らは、心不全患者のうち前屈時に息切れする人はその後、死亡するリスクが高いことを明らかにした。こうした症状を早期に見つけて重点的な治療につなげれば患者の生存率を高められる可能性がある。

心不全は血液を全身に送る心臓の機能が落ちる病気で、日本人の死因の上位を占める。高齢化に伴い今後患者が増えると懸念されている。

研究チームは心不全で入院後、回復して退院した国内の高齢患者1243人を調べた。靴ひもを結ぶ時の前屈姿勢をしばらく取ると息切れする患者は31人と全体の約2%いた。

こうした患者は心不全の症状が重いほか、退院から2年以内に死亡するリスクが息切れしない人の2.1倍だった。同じ条件で別の時期に入院した患者225人についても調べたところ、同様の症状がある患者は約4%で、こちらでは死亡リスクは4.2倍だった。

症状の起きる詳しい仕組みは不明だが、前屈すると心臓の内圧が上がって肺などで血液の流れが滞ることがあり、息切れにつながる可能性があるという。一般に血液の流れが滞ると心不全による死亡が起きやすくなるとされる。

患者に前屈してもらい30秒ほど待つだけで症状の有無を見分けられ、短時間でコストをかけずに実施できる。中出大学院生は「高リスクの患者さんを日常の診療で早期に見つけるのに役立ててもらえれば」と話す。研究成果をまとめた論文が欧州の医学誌に掲載された。

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