雄として育てられていた頃のクレイ(愛媛県立とべ動物園提供)
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 「雄ライオン」として札幌市円山動物園に移ったものの、遺伝子検査で「雌」と判明した人気ライオン「クレイ」(2歳)が、故郷の愛媛県立とべ動物園(砥部町)に帰ってきた。28日には地元ファンに久々にお披露目される予定で、園は「これからは『クレイちゃん』として可愛がってほしい」と呼び掛けている。

 クレイは同園で人工哺育され、群れに戻すことが困難だったことなどから、2023年10月に円山動物園に移った。雄雌の体の違いなどを学んでもらうために展示されていたが、1歳6カ月を過ぎても雄の特徴である「たてがみ」が成長せず、尿の出方も雄らしくなかったことから、血液による遺伝子検査を実施したところ「雌」と判明した。同園は既に雌ライオンを飼育しており、雄雌を飼育する方針だったことから、クレイはとべ動物園に戻ることになった。

 22日に札幌を車で出発したクレイは、24日に同園に到着。かつて暮らした「生家」を覚えていたようで、到着後すぐにオリから出て自分の寝室に入った。2日間にわたる長距離移動の疲れも見せず、食欲も旺盛。27日には屋外展示場に出て、かつてお気に入りだった岩の上でくつろいだり、おもちゃで遊んだりして、故郷に戻った喜びをかみしめているようだった。

屋外でくつろぐクレイ=愛媛県立とべ動物園で2024年5月27日午前10時11分、広瀬晃子撮影
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 当面は体調などを考慮しながら週3回程度のペースで一般公開される予定。同園によると、クレイは全国にファンがおり、「性別は関係ないので早く会いたい」「おもちゃを送りたい」などの問い合わせが50件以上入っているという。宮内敬介園長は「クレイや円山動物園、ファンの皆さんにご迷惑をおかけした。クレイが健やかに育つよう、今後は丁寧な飼育管理に努めたい」と話した。

 同園は他の園に移動させる哺乳類について、性別の判定に疑義が生じた場合は遺伝子検査を実施するなど、再発防止策に取り組んでいる。【広瀬晃子】

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