この調査は、全国の保育士や保護者などでつくる団体が実施し、3日記者会見を開いて明らかにしました。

このうち、今年度から、3歳児から5歳児まで見直された保育士の配置基準の実施状況を聞いたところ、対象となったおよそ1万2000の保育施設のうち、新たな基準どおりの配置ができず、実施できる時期も分からないと回答した保育施設がおよそ30%に上りました。

実施に向けた課題を自治体に聞くと、「正規職員の採用」と「会計年度任用職員の採用」と回答したのが63%にのぼり、保育士の確保が一番の課題になっていました。

新たな配置基準では、保育士ひとりが担当する
▽3歳児の基準は「20人」から「15人」に
▽4、5歳児の人数は「30人」から「25人」になりましたが、
国は経過措置として、当面従来の基準で運営することを認めています。

調査を行った「子どもたちにもう1人保育士を!」実行委員会の岩狭匡志さんは、「実施の見通しが立っていない自治体が一定割合いることが調査からわかった。すべての子どもたちに基準が行き渡るように期限を定めた上で、取り組みを進めてほしい」と話しています。

配置基準厳しい保育所は

多くの保育現場は、保育士の確保に頭を悩ませています。こちらの岐阜県大垣市の保育所は、新たな配置基準を満たす保育士が確保できず、園児の受け入れを制限しました。

それでも夕方の時間帯は、早番の保育士がいなくなるため、基準どおりの保育士を配置できない日があるといいます。

取材に訪れた日も保育士の休みが相次ぎ、16時以降は3歳児から5歳児およそ50人に対して、基準を下回る2人の体制になっていました。

この保育所では正規の保育士を確保しようと採用活動を続けていますが、ハローワークに求人を出しても応募がなく、やむをえず今年度は、人材紹介会社の利用を決めました。

しかし、人材紹介会社からは、保育士の年収の20%の手数料がかかると説明され、園の経営を圧迫するのではないかと懸念しています。

はだしっこ保育園の山田貴史園長は「ギリギリの職員数で回していて人手不足は深刻です。採用にコストがかからないよう、行政には採用活動の支援も検討してほしい」と話しています。

専門家「人材不足の地域支援を」

人材確保などの問題で、新たな配置基準を満たせない保育所があることについて、保育に詳しい日本総研の池本美香上席主任研究員は「人材の確保に悩む地域を支援するために、学校教員にあるへきち手当を保育士にも設けたり、コストがかかるという人材紹介会社の利用実態について調査したりして、手だてを考えたりすることも必要だ」と指摘します。

そのうえで「保育士不足だから配置基準はこれ以上改善できないという声もあるが、少人数で保育できる環境になり、働きやすくなれば、潜在保育士の復職にもつながるのではないか」と話しています。

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