携帯用扇風機が爆発する瞬間=NITE提供

 小さな携帯用扇風機は暑い夏をしのぐ「必須アイテム」。だが、地面に落とすと爆発する恐れがあることはあまり知られていない。

 尼崎市消防局(兵庫県)が注意喚起の動画をSNS(ネット交流サービス)で配信したところ、再生回数は15万回を超えた。

 どんな点に注意して使えばいいのか、専門家に聞いた。

衝撃加われば「使用中止を」

 「パーンッ!!」

 尼崎市消防局の公式インスタグラムで公開中の動画の冒頭で、マネキンが首からぶら下げている携帯用扇風機が大きな音を立てて破裂した。

 動画では消防士が「通常に使う分には問題ない」と説明しつつ、携帯用扇風機を地面に落としたり、強い衝撃が加わったりした場合は「使用するのをやめてください」と訴えた。

兵庫県尼崎市消防局が公式インスタグラムで配信している、携帯用扇風機の使用上の注意点を解説する動画=インスタグラムより

 携帯用扇風機やモバイルバッテリーの使用上の注意点を1分ほどでまとめた動画は、再生回数が15万回を超える反響ぶり。「落としたら使うのは危ない、なんて全く知りませんでした」などのコメントもあった。

 消防局の担当者は「街中で携帯用扇風機を持っている人が多く、火災予防の観点から動画を公開した」と話す。

 なぜ、携帯用扇風機が破裂したり、発火したりしてしまうのだろうか。

 独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」によると、カバンから取り出そうとしたり、手から滑り落ちたりして携帯用扇風機が地面に落ちてしまうと、内蔵されているリチウムイオンバッテリーが衝撃によって変形し、内部でショートを起こすことで煙や炎が噴き出してしまうのだという。

避けよう「就寝中の充電」

 NITEの集計によると、携帯用扇風機による事故は、2019年度が22件▽20年度が15件▽21年度が5件▽22年度が3件――の計45件。事故発生時の使用状況は、使用中が4件▽充電中が19件▽状況不明が21件▽その他が1件――だった。

 NITEは、充電ができなくなる▽充電中にこれまでよりも熱くなった▽外装が膨張して変形した▽不意に電源が切れた――などの異常が見られた場合は「使用しないほうがいい」と呼び掛ける。また、充電中に発火する事例もあることから、異変に気がつきにくい就寝中の充電も避けた方が良いという。

梅雨が明け、強い日差しのなか小型扇風機を手に歩く女性たち=大阪市北区で2023年7月20日午前11時54分、梅田麻衣子撮影

 携帯用扇風機の不具合によって発火する事故もあるため、購入時には、事業者の連絡先が確かなものを選ぶことも大切だという。

 NITEの担当者は「もしも強い衝撃を与えてしまった場合は、異常が生じていないかどうかしばらくの間注意してほしい。衝撃を受けてしばらく経過してから発火などが生じるケースもある。もし異常があれば使用を中止し、製造・輸入・販売事業者の修理窓口に相談してほしい」とアドバイスした。【坂根真理】

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