アメリカの2歳未満の子供のスクリーンタイムは1日平均42分だという DONOT6_STUDIO-Shutterstock

<幼児期のテレビやデジタル機器視聴は言語習得の遅れに?>

1歳半未満の子供はスクリーンタイム(テレビやタブレット端末などの画面を見る時間)を避け、1歳半~2歳では大人と教育プログラムを見るときだけに制限せよ──。アメリカ小児科学会はそう推奨している。だが米小児研究NPOゼロ・トゥー・スリーによれば、アメリカの2歳未満の子供は1日平均42分も画面を見ている。

スクリーンタイムと子供の発達の関係についてはこれまでもさまざまな研究がされてきた。今年3月に米国医師会の医学誌「JAMA小児科学」に掲載された研究では、子供が言葉を聞く体験への影響が指摘された。幼児期の言語体験は感情の発達やIQ(知能指数)、脳機能と関係がある重要なものだ。

2018~21年に220の家族を対象にしたこの研究では音声認識技術を使い、子供のスクリーンタイムと言語環境を把握。1日平均16時間、6カ月ごとに集めたデータから親子の会話を観察した。

その結果、スクリーンタイムが1分延びるごとに子供が発声したり、大人の言葉を耳にしたり、会話のやりとりをすることが減ると分かった。特に3歳児についてその関連性が顕著で、スクリーンタイム1分ごとに耳にする大人の言葉が6.6語減り、発声が4.9語減るなどした。研究者は「スクリーンタイムは幼少期の豊かな言語体験を妨げる」と結論付けている。

英ランカスター大学の発達心理学講師であるマリーナ・バジダイ(研究には参加していない)はこれについて、「複数の時点で比較的大規模かつ多様なサンプルを調査したのは意義がある」と話す。

一方で、保護者と子供の日常的な交流を妨げるデジタル機器以外の要因や、スクリーンタイムの内容が考慮されていないのは弱点だと指摘する。「コンテンツの質が高く発達段階に適切な内容なら、大人とのコミュニケーションが減ってもあまり有害ではないかもしれない」

今後は、そうした点も考慮した研究が期待される。

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