岡山大学の中野靖浩講師や大塚文男教授らは新型コロナウイルス感染症の後遺症を疑って病院を受診した人の約7%に糖尿病など別の病気が見つかったと報告した。倦怠(けんたい)感などが続いた場合、後遺症と決めつけずにかかりつけ医に相談したり検査を受けたりすることが重要だ。

新型コロナの後遺症は感染から回復した後も続く症状のうちで他の病気では説明できないものをさす。成人では感染者の1〜2割にみられるとされ、倦怠感や頭痛、睡眠障害など様々な症状が起きる。

研究チームはコロナ後遺症を疑って岡山大学病院を受診した10代以上の731人を調べた。6.8%にあたる50人に治療や経過観察が必要な病気が52種類見つかった。2型糖尿病や家族性高コレステロール血症などの内分泌代謝疾患が最多の8人で、貧血などの血液疾患や気管支ぜんそくなどの呼吸器疾患の人も各8人いた。

病気が見つかる割合は年齢層が上がるほど高まり、60歳以上では15.7%に達した。肺がんなどコロナ後遺症よりも治療を優先すべき病気も全体の2.2%にあたる16人で見つかった。副鼻腔(びくう)炎やうつなどコロナ後遺症と症状が似た病気もあった。

コロナ後遺症の治療は対症療法にとどまる。ただ別の病気で症状が出ている場合は治療できれば根治も期待できる。大塚教授は「今回発見した病気の中には健診で見つかるものもある。検査を受けることが重要だ」と話す。研究成果は国際科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

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