文部科学省=東京都千代田区で

 文部科学相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)特別部会で議論している公立小中学校での教員不足解消策の素案が判明した。若手教員の離職や休職を防ぐため、新卒1年目には学級担任を担当させないなどの案を盛り込んでいる。19日に開催される特別部会に示し、5月にも総合的な方策として取りまとめる。

 特別部会は2023年6月以降、教員の負担軽減と処遇改善策を議論していた。精神疾患で1カ月以上休んだ20代教員(休職含む)は22年度に3099人と5年前17年度の1576人に比べ倍近くに増加。教員採用試験の倍率も低迷していることなどから、特に若手の支援体制づくりが急務だと判断した。

 素案では、新卒教員を負担の大きい学級担任ではなく教科担任とし、持ち授業数も減らす。関係者によると、23年度から新規採用教員の育成支援事業を独自に始めた山形県を参考にしたという。

 このほか、小学校高学年(5、6年)で実施されている教科担任制を中学年(3、4年)でも導入することや、教諭と主幹教諭の間に若手教員をサポートする新ポストを創設することも盛り込んだ。

 処遇面では、時間外勤務手当(残業代)が支払われない代わりに支給する「教職調整額」について現行の給料月額の4%から10%以上に引き上げる案を記載。教職調整額は教員給与特別措置法(給特法)に基づいているが、支給割合は1972年の施行当時から変わっておらず、引き上げが実現すれば約50年ぶり。残業代の支払いは見送る。このほか、学級担任手当や管理職手当の改善も検討事項に挙げた。

 国は74年制定の人材確保法で、教員の待遇を一般の公務員より優遇すると規定。ただ、80年度に7・42%だった給与の優遇分は行財政改革などに伴い18~22年度の平均で0・35%まで下がり、一般公務員とほぼ変わらない水準となっていた。各種の処遇改善策により7%程度の優遇分を回復させ、優秀な人材の確保につなげたい考えだ。

 文科省は6月に策定する「骨太の方針」に盛り込み、関連経費の24年度当初予算案への計上を目指す。【斎藤文太郎】

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