集合住宅で、住民から集める「修繕積立金」の積立額が不足しているマンションの割合が36.6%に上っていることが、国土交通省の調査でわかった。5年前より1.8ポイント増加しており、専門家は早めの対策を呼びかけている。

 国交省の「マンション総合調査」は、マンション管理の実態を把握するため5年に1回、紙やオンラインでアンケートをしている。

 今回は2023年10月~今年1月、全国4270の管理組合を対象に配布し、有効回収数は1589件(回収率37・2%)だった。

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 国交省が6月に公表した調査結果によると、1402件で長期修繕計画があり、修繕積立金を徴収していた。

 このうち、現在の修繕積立金の残高が計画に対して、不足していると回答したのは513件(36・6%)で、不足していないと回答したのは560件(39・9%)だった。329件(23・5%)は「不明」だった。

修繕積立金の運用、一部マンションにとどまる

 一方、修繕積立金制度がある1522件について、修繕積立金の運用先が明らかになった。

 複数回答で聞いたところ、銀行の普通預金1169件(76・8%)、定期預金534件(35・1%)、利息がつかない決済性預金390件(25・6%)、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」290件(約19・1%)と続いた。

 「さくら事務所」(東京)のマンション管理コンサルタントの土屋輝之さんは、多くのマンションでは、修繕積立金の設定額が妥当なのか長期修繕計画の確認から始める必要があると指摘する。

 計画の見直しの際には、インフレや修繕工事費の高騰を考慮すべきだとアドバイスした上で、「マンション住民にとって、修繕積立金は税金のようなもの。だからこそ、よく話し合って決めてください」と話している。

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