完全な形で残っていた宮古平塚古墳の太鼓形埴輪=奈良県田原本町の唐古・鍵考古学ミュージアム

国内で初めて完全な形の太鼓形埴輪(はにわ)が見つかった奈良県田原本町の宮古平塚古墳(6世紀前半、一辺20メートルの方墳)とヤマト王権をテーマにした唐古・鍵考古学ミュージアム(同町阪手)の企画展が、20日から開かれる。太鼓形埴輪は、真の継体天皇陵といわれる大阪府高槻市の今城塚古墳(6世紀前半、墳丘長180メートルの前方後円墳)でも破片が出土したことから両古墳は密接な関係があるとされ、埴輪を通じて当時の歴史的背景に迫る。5月26日まで。

宮古平塚古墳は、令和3~4年度に発掘され、周濠(しゅうごう)から馬や盾、大刀などを模した埴輪のほか、長さ28センチ、直径25センチで、両端に革を留めるびょうが表現された太鼓形埴輪が見つかった。太鼓形埴輪は全国で6基程度の古墳でしか見つかっておらず、話題を集めた。

太鼓は歌舞を伴う儀式や、陣太鼓として軍隊の号令に使われたとされ、柴田将幹・同町教育委員会文化財保存課係長は「被葬者は儀式などで太鼓をたたいたか、太鼓の生産に関わった人物」と推測。さらに今城塚古墳など太鼓形埴輪が見つかった古墳はヤマト王権ゆかりの古墳が多いことから、宮古平塚古墳も「被葬者はヤマト王権と特別な関係があったのではないか」と話した。

宮古平塚古墳の馬形埴輪

企画展では、宮古平塚古墳出土の馬形埴輪や瓢箪山古墳(奈良県三宅町)の犬やシカを模した埴輪など約100点が並び、バラエティーに富んだ埴輪の世界も楽しめる。

5月3日午後1時半から講演会があり、太鼓形埴輪を調査した西岡加奈子・田原本町教委文化財保存課技師、松田度・奈良県大淀町教委文化振興課係長、龍谷大大学院の花熊祐基氏が埴輪の意義などを解説。同19日午後2時からは、今城塚古墳を発掘した森田克行・高槻市文化財アドバイザーが講演する。いずれも無料で定員80人。観覧料は一般300円、高校・大学生150円。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。問い合わせは同ミュージアム(0744・34・7100)。

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