福岡市動物園に到着したアジアゾウの親子=福岡市中央区で2024年7月30日午後3時25分、吉田航太撮影
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 福岡市動物園がミャンマーから提供を受けたゾウ4頭が30日、園に到着した。園でゾウを飼育するのは7年ぶり。今後、国内では事例が少ない繁殖にも取り組む。ゾウが新たな住居に慣れるために落ち着いた環境が必要なため、一般公開は10月ごろの見通し。

 やってきたのは、ミャンマー中部のバゴー地域にあるゾウキャンプで飼育されていた3~22歳の雌3頭と雄1頭で、うち3歳と22歳の雌は親子。日本時間の29日午前10時ごろに現地を出発し、ヤンゴン国際空港から給油地のタイを経由して30日朝に北九州空港(北九州市)に到着。検疫や通関後は陸路で運ばれ、同日午後2時ごろ園に着いた。

 園では1953年の開園以来、常にゾウを飼育してきたが、2017年にアジアゾウのはな子(雌、推定46歳)が死んで以降は不在が続いた。来園者らから「早くゾウに会いたい」との声が寄せられ、市は16年に姉妹都市協定を締結していたミャンマー・ヤンゴン市と、ゾウの導入について協議。19年に学術研究を目的とした動物交流に関する覚書を結び、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定しているアジアゾウの「種の保存」を目的とした受け入れが決まった。

バゴー地域
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 これまで園で飼ってきたのは雌だけで、繁殖のための雄の受け入れや、4頭同時の飼育は初めて。園は約19億円を投じ、動物の待遇改善に努める「動物福祉」の考えに配慮したゾウ舎を新設したり運動場の敷地面積を従来の3倍超に拡充したりするなど飼育環境整備を進めてきた。当初は22年春の受け入れを計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大やミャンマー国内での軍事クーデターの影響で延期となっていた。

 今回のゾウ導入では、ミャンマーでゾウと長年連れ添ってきたゾウ使い「マフー」も来日し、4頭が新しい環境に慣れる手伝いをするとともに、飼育員らに飼育のノウハウを伝える。ゾウの飼育チームリーダーの白浜祥平さん(32)は「日本の動物園では現在飼育されている個体が高齢化し、寿命を迎える。このままではゾウを見られなくなる可能性もあるので、繁殖は絶対にしていきたい」と話す。

 全国の動物園・水族館が加盟する公益社団法人「日本動物園水族館協会(JAZA)」によると、23年末現在、国内には32施設にアジアゾウ82頭、12施設にアフリカゾウ22頭がいる。野生動物の輸出入規制や動物福祉の取り組みが強化されるなか、ゾウの海外からの導入は減少し、個体の高齢化が進んでいる。国内の動物園では札幌市円山動物園が18年11月、ミャンマーからゾウ4頭を受け入れている。【竹林静】

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