文部科学省が入る合同庁舎=東京・霞ヶ関

令和7年度から使われる中学校教科書を対象とした文部科学省の検定で、明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏が代表を務める「令和書籍」の歴史教科書が初めて合格した。過去3回にわたり不合格となっていた。各社の検定結果は3月下旬に公表されたが、内容が外部に漏れていたとして異例の検定「未了」に。文科省の調査の結果、〝潔白〟であることが確認され、今月19日に合格が発表された。

「検定不合格教科書」と刊行も

合格したのは、令和書籍が申請した中学社会科の歴史教科書2点。文科省は検定結果を3月22日に公表したが、令和書籍版については、外部から通報を受けて情報漏れの可能性があると判断し、結果を留保して審査を継続する「未了」とした。

その後の調査で、令和書籍側がインターネット番組で「申請を予定している」との発信はあったものの、申請後に内容を公にするなどの事実はないことが判明し、審議にも影響を与えていないことが明らかになった。

令和書籍は平成30年度の検定に申請後、取り下げ。令和元年度から3年度まで3回にわたり申請したが、いずれも不合格となった。「文部科学省検定不合格教科書」として刊行していた。

「慰安婦」問題、コラムで詳述

合格結果を受け、竹田氏は「6年がかりで合格に至りました。長年応援してくださった方々に御礼申し上げます。今後は採択に向けて活動していきます」とX(旧ツイッター)に投稿した。

検定合格後、各社は教育委員会などが学校で使用する教科書を決定する「採択」に臨む。他社はすでに見本本を印刷し、教委などに発送する作業を進めている。採択手続きは8月末まで行われるため、文科省担当者は「特段の不利益は生じないと考えているが、平等性を担保するような措置も今後、検討していきたい」と話している。

令和書籍版は、「慰安婦」問題について、日本政府が1965(昭和40)年の日韓請求権協定で解決済みとの立場であることなどをコラムを設けて詳述していることなどが特徴の一つ。

竹島「不法占拠」と明記

領土問題でも、例えば、日本固有の領土である竹島(島根県隠岐の島町)について、「(韓国が)現在も不法占拠を継続し、竹島問題は未解決のまま」などと明解に記している。

検定では、後鳥羽上皇が鎌倉幕府の最高権力者、北条義時の追討を命じたことに始まる「承久の乱」を巡り、解説の漫画を十数ページにわたり掲載。他の項目の記述と比べてバランスに欠けるなどとして検定意見が付き、修正を求められた。

韓国の日刊紙、中央日報(電子版)によると、令和書籍版の検定合格を巡り、韓国政府は駐韓日本大使を呼んで抗議したと伝えている。

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